2020年5月2日土曜日

カーター・ディクスン「一角獣の殺人」(1935)

カーター・ディクスン「一角獣の殺人」(1935)を読む。田中潤司訳2009年創元推理文庫版で読む。
THE UNICORN MURDERS by Carter Dickson 1935
こいつもヘンリー・メリヴェール卿の登場するカーター・ディクスン名義の一冊。

軍を除隊になりぷらぷらしてたケン・ブレイクくんはHM卿に拾われた英国諜報部員。5月のパリで酒を飲んでとたまたま耳に入った「フラマンドとガスケ」という人名を言葉に出したら周囲から冷たい目線。職務質問され巡査にパスポートをそのまま持ち去られる。

そこにイヴリン嬢登場。この婦人も英国諜報部員?「ライオンと一角獣が王位を狙って闘った」という符牒?
だが、待ち合わせで人違い?
途中で警察に追われる身に陥る。そこにHM卿も追いつく。飛行機も不時着する。なんか、ミステリーというよりスパイスリラー的な展開。

さらにまたしてもディクスン・カーのドタバタ喜劇につきあわないといけないのか…という展開を経て、「島の城」という中世の古城へたどりつく。まったくなにがなんだか読者はわからない。
この中に怪盗フラマンドがいる!と宣言したガスケ警部が階段から転げ落ち、眉間に鋭い角で突かれたような傷。売国奴は一角獣に突かれて死ぬという伝説があるらしい…。

でもってケンくんが本物ガスケ警部から殺人容疑をかけられフラマンドってことにされ絶体絶命。フランス警察無能。
だがそれ以上にHMが無能。イヴリンも共犯、HMも共犯ってことにされそうになる。
途中でもう投げ出したくなるややこしさの末、ややこしい顛末をHMが述べる。読み終わって何も爽快感がない。結果、やっぱりつまらなかったw

ディクスン・カー(およびカーター・ディクスン)を3作連続でつまらないものを引いてしまった。もうカーを読むのはやめようと思う。作家としての力量がアガサ・クリスティーに比べてかなり落ちる。というのが自分の結論。

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