池松壮亮が名探偵金田一耕助を演じる「横溝正史の作品をほぼ原作通りに映像化」というドラマシリーズ。
今回もNHKエンタープライズ製作、淵邊恵美プロデューサーによる野心的な30分ドラマ3本。
今回の「シリーズ横溝正史短編集Ⅱ」は「貸しボート十三号」「華やかな野獣」という初映像化作品と「犬神家の一族」という野心的なラインナップ。
とくに渋江修平演出の「犬神家」は発表直後から「30分でどうやって?」と横溝オタたちの間で話題騒然。
まさかほとんど屋敷の中で進行する舞台劇になっていたとは!ほんとうに30分でやり切ったのは快挙。結果、大絶賛の嵐!w
まるで能狂言のような仮面劇。ギリシャ悲劇のようだし、衣装ヘアメイクはクリムトのよう。
昭和20年代の日本の田舎を用意するのが難しいのなら、こんなふうに、いつの時代かわからないような舞台にするのは今後も使えそう。
今回の映像化で世間を一番驚かせたのがスケキヨマスク。本人に似せて作らせたゴムマスクという点でまったく原作に忠実w 頭が異常にでっかいという違和感が可笑しいしむしろ怖い。
出征奉納手形と比較するために手形を押すのを拒否するシーンの直後が佐武生首菊人形だったのにも大びっくりw
有名な犬神家アイコンの逆さ死体も木製のタライに乗って登場w こんな演出とは予想外w 結果、すごい快速テンポ。
おそらく、初めて「犬神家の一族」を見たという人は理解するヒマもなかったに違いない。
池松壮亮のデフォルメされた金田一は歴代金田一の中で異質だが、池松は石坂浩二に匹敵するほど声質が良い。悲劇の真相を語らせるのにぴったりな配役。いずれ長編作品でも池松でお願いしたい。(長谷川博己金田一も待っている)
「ほぼ原作通り」という膨大な台詞をよどみなくすらすらと早口でしゃべる必要のあった松子夫人役の坂井真紀は強いプレッシャーを感じていたらしい。この坂井が見事にこの悲劇を演じてみせた。大拍手。
この物語の可憐なヒロイン野々宮珠世は久保田紗友。主要キャストがみんなふざけたようなヘアスタイルと衣装の中で唯一ビシッと美を表現。
2000年生まれで1月に20歳になったばかり。2000年ってつい最近じゃん!あの時生まれた子がこんなに美人になってるとか怖い。
手形を押した仮面のスケキヨが犬神佐清本人だと鑑識警察官が叫ぶシーンでちゃんと「信じられない!」という表情をカメラは抜いていた。
あと、佐智殺害後の小夜子がちゃんと気が触れた演技をしていた。
犬神佐兵衛翁は斉木しげるだったのだが、死去即肖像画というシーンもバカらしくて楽しかった。
佐智に拉致された珠世の居場所を、佐清が猿蔵に電話で教えるシーンで、猿蔵は受話器を上下逆にしていた。おそらく意図的なギャグだと思う。
これ、2回3回見ても面白い。この手法は今後も使える。いや、積極的に使ってほしい。
実は今回の短編集Ⅱは第2話「華やかな野獣」(佐藤佐吉演出)を見逃したw 第1話と放送時間が違っていたためにラスト1分ぐらいしか見れなかった。今はオンデマンドで見れるけど、地上波初放送されたら見て感想を書きたい。
第1話「貸しボート十三号」(宇野丈良演出)もすごく評判が良かったっぽい。昭和30年ごろの東京を描くのはもう不可能とわりきって現代で描く潔さ。淡くコントラストの低い映像が好評価。
出演者の中に韓国人俳優がいる。たどたどしいイントネーションの韓国人俳優を紛れ込ませることも何か意図的な演出のような気がした。
紅一点ヒロインを演じたのは蒔田彩珠(17)。この子は「三度目の殺人」で福山雅治弁護士の中学生になる娘役だった子だ。
0 件のコメント:
コメントを投稿