渡辺温全集「アンドロギュノスの裔(ちすじ)」(2011 創元推理文庫)を読む。
渡辺温(1902-1930)という作家の本を初めて読む。自分、横溝正史を読むようになるまでこの人をまったく知らなかった。「新青年」を発行していた博文館の横溝と一緒に編集の仕事をしていた人物。兄の啓助も探偵小説作家。
昭和5年、谷崎潤一郎宅へ原稿依頼の帰りに乗り合わせたタクシーが貨物列車と衝突事故を起こして27年の短い生涯。
2011年に出たこの600ページちょっとの文庫は、渡辺温の短編、脚本、翻訳翻案、映画関係の随筆などを集めたもの。
自分はてっきり創元推理文庫から出てるので探偵小説短篇集かと思った。
殺人事件とその真相のような話もあるけど、この本のほとんどが都会派の小川未明みたいな感じ。どこかもの哀しい大人の童話のような感じ。恋愛小説や夫婦の話も多い。純文学作品?
読み終わった瞬間に「で、どんな話だっけ?」と忘れていく。これは感想のようなものが特になく困るw 脚本、翻訳翻案などはさっさと読み飛ばした。
一番驚けた作品が「可哀想な姉」。これは乱歩みたいな味わいの鬱短編。
「悲しきピストル」も切ない。この時代はピストル強盗が流行ってたらしい。
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