2019年8月8日木曜日

アガサ・クリスティー「パーカー・パイン登場」(1932,1933)

アガサ・クリスティー「パーカー・パイン登場」を読む。これが自分にとってクリスティー47冊目。乾信一郎訳の早川文庫。12本の短編を収録。
PARKER PYNE INVESTIGATES by Agatha Christie 1932,1934
クリスティ女史は30年代に「パーカー・パイン」シリーズも短編作のみで発表していた。

パーカー・パイン氏は分厚い眼鏡をかけた禿げ頭で初老の大男。とある官庁の統計局に35年勤務した経験を活かして人々のお悩みを解決する。
12本のどれもが短く軽いエピソードの数々。そのほとんどがミステリー小説とはいえない。
「あなたは幸せ? でないならパーカー・パイン氏に相談を。リッチモンド街17」
という新聞広告を見て相談にやってきた悩める人々を、雇われ劇団員たちが依頼主に知られないように悩みの元を解決。
ミス・レモン、オリバー夫人、コンスタンチン博士、などなど、クリスティ女史は脇役の名前を使いまわしw

人生に退屈した元軍人、妻から離婚したいと切り出された夫、出来心で友人の宝石を盗んでしまった婦人、幸せな家庭を持つのに満たされない40男、富豪の老婦人、などのヒューマンドラマ。

後半は雰囲気が変わる。休暇中のパイン氏が中東を旅していて次々に事件に遭遇する。

12本目「デルファイの神託」は鮮やかにアレがさく裂!息子が誘拐され身代金を要求される事件だが、主人公の夫人のように自分もポカンとなってしまった。
ネタバレギリギリで感想を述べると、まるで「さらば愛しきルパン」。この短編がラストにあるおかげで余韻に浸りながら本を閉じることができる。

これ、まるで日本の連ドラにそのまま使えそう。1回30分全12回連続ドラマの原作にぴったり。
てか、コンフィデンスマンJPと雰囲気が似ている。依頼者に合意の上で金を払わせ、結果として幸せな気分にさせている。
主演小日向文世、部下の女優と俳優はまさみと東出でそのままドラマになりそう。テレ朝のしょぼいリメイクが許されるなら、こういうのも可能では?

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