山本政喜訳1994年角川文庫(改定新版)で読む。この訳は戦後間もない時期に出たものらしい。1968年に初文庫化されたものがこれらしい。
自分、つい最近までフランケンシュタインが、200年前に18歳英国人少女メアリー・シェリー(Mary Wollstonecraft Shelley、1797-1851)によって書かれたゴシック小説だという事実を知らなかった。日本だと文化文政年間。ブラム・ストーカー「ドラキュラ」よりもさらに100年古いヨーロッパを描いてる。
小説フランケンシュタインをモンスターパニックホラーだと思い込んでいた。それは完全に間違いだった。
ジュネーブのスイス人青年フランケンシュタイン君はバイエルン・インゴルシュタットの大学へ進学。それまでの家族の物語が「それ必要?」ってぐらいくわしく書かれる。姉エリザベート、友人クレルヴァル、そして父とのやりとりがごく普通の爽やか青年。
やがて化学で死者を蘇生させる。そのへんの詳しいことにはまったく触れない。
読んでも読んでも期待したような怪奇展開にならない。肩透かし。
この怪物が蘇生後「え?」って思うのだが、スッといなくなる。やがてフランケンシュタインくんの幼い弟が何者かに殺されたという知らせが。
故郷へ帰る。そこで巨大で醜い怪物を目撃。
この怪物がたいして騒ぎにもならずに長距離移動してて疑問だが、200年前なら野山で暮らせば見つからないのかも。
弟殺害の罪で無実の人間が死刑になってる。200年前とはいえ酷い展開。
ぜんぜん期待通り予想通りにストーリーが進まなくてちょっとイライラしたw
開始が他人から受け取った書簡形式だったり、「私」がフランケンシュタイン青年だったのが、途中では「私」が怪物になってたりする。
正直、それほど面白くも感じなかった。ストーリーとして稚拙。200年前の小説なので致し方ない。読み難さに困惑。
姿が醜く恐ろしいというだけで社会から疎外された怪物の憎悪と復讐は創造主フランケンシュタインへと向かう。青年フランケンシュタインの愛する人々が次々と殺される。青年の復讐心も怪物へと向かう。
メアリーは急進革命思想家の父と女権運動活動家の女傑を母に生まれ、バイロンとも親交があったため、このような作品を生み出せた。
社会から疎外された怪物の憎悪が社会そのものへと向かう。まさに現代社会にも通ずるものがあるかもしれない。
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