2019年7月14日日曜日

オリバー・ストーン「JFK」(1991)

先日放送のBSプレミアム「ダークサイドミステリー」ではJ.F.ケネディ大統領暗殺事件を扱っていた。自分はケネディ暗殺事件は基本的なことしか押さえていない。興味を持って見た。

人々はなぜ陰謀論にのめり込むのか?がテーマ。オズワルド単独犯行説と「陰謀論」の対立に焦点。
専門家によれば、陰謀論なんてものに振り回される奴はバカという扱い。オズワルドの経歴を見れば十分にひとりでできる犯行らしい。

だが、1992年になって公開された事件6週間前のCIA電報によれば、オズワルドはすでに監視対象。CIAはやっぱり資料のほとんどを隠ぺいしてる?!
トランプも機密文書はすべて公開するつもりだったのに、CIAとFBIの説得で公開を拒むようになった?

陰謀論派の代表がオリバー・ストーン監督による「JFK」(1991)だ。まだ一回も見たことなかったので見てみた。3時間25分の大作。

当時のニュース映像を多用し喰いぎみにテンポよく見るものを引き込んでいく。国際情勢と国内情勢をおさらいしてくれる。
ダラスで狙撃される大統領。オズワルドの逮捕。ジャック・ルビー。米国市民は短い間にテレビで恐ろしいものを連日目撃。

「キューバ人を見殺し、ユダヤ&カトリックと結託し、黒人を甘やかすダメな大統領」ケネディをこき下ろす下品そうな男たちが存在する。
米国民はぜんぜん一枚岩じゃない。みんないがみ合い。「アメリカ人の恥だよ」アメリカ人にとってすべてが悪夢。

ケビン・コスナー演じる地方検事ジム・ギャリソンは3年後にケネディ暗殺事件を捜査。この時代の人々は仕事中もタバコの煙の量がハンパない。
ウォーレン報告書は矛盾だらけの捏造だらけ。関係者の多くが証言を拒む。妨害と嫌がらせ。妻とも不和。
ジョー・ペシ(対キューバ右翼工作員)が「フ○ッキン!フ○ッキン!」連発でうるせえ。
出演者がどこかで見た名優だらけ。豪華。
ワシントンの芝のベンチでX氏が語る事件のからくり。これがすごく真実っぽい。

この映画のクライマックス「クレー・ショー裁判」でのラスト、ギャリソンの演説が長大。あの日起ったことは王殺しのクーデター。
とても熱いメッセージを持った映画。字幕を読むためにずっと画面に釘付け。疲れた。けど弛緩なく一気に見れた。

この映画をみたことで、なぜにオズワルド単独犯行説を強く唱えるジャーナリストが今も多いのかという理由も分かった気がする。この映画で陰謀論派がかなり盛り返した。守る側も必死でがんばらないとw

その一方で、陰謀論にしては範囲が大きすぎる。裏切り者は殺される鉄の結束にしても、ペンタゴン、FBI、CIA、マフィア、そしてホワイトハウス、誰一人情報を漏らさないのも不思議だ。

アメリカが闇すぎて見ていてとにかく怖い。アメリカ人でなくても怒りがわく。正義と公正なんてものは存在しない。ソ連とたいして差がない。

偽オズワルドを多くの人々に印象的に目撃させる手法とか、完全に松本清張も指摘するCIAのやり口。下山事件も松川事件も実行犯本人たちも何がなんだかわからないように仕組んである。CIAは世界中でそんな工作活動をやっている。

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