2019年7月19日金曜日

カポーティ短篇集

まだ一冊も読んだことのないトルーマン・カポーティ(1924-1984)を読んでみる。

「冷血」「ティファニーで朝食を」は読む気が起こらなかった。まずは短篇集からということで、河野一郎編訳ちくま文庫「カポーティ短篇集」(1997)で。この文庫本は今でも多くの人に読まれているようだ。

「楽園への小道」Among the Paths to Eden, 1948
1960年にエスクワイア誌に掲載されたのが初出。死んだ妻の墓参りに訪れた中年男性。それだけで切ないのだが、そこで出会った婦人がさらに切ない!生きるって哀しい!という短編。いや、これだけたくましければなんとか生き抜いていけるだろう。

「ヨーロッパへ」to Europe, 1948
戦後間もない地中海へ、青年カポーティの旅行記。ギリシャ、スペイン、シチリア、ローマの旅。
あたりまえだがアメリカ人も地中海沿岸の人々にとっては完全に外国人なんだな。

タオルミーナで借りた家を手伝いに来る19歳娘が、兄に顔を殴られボッコボコになってる件で「酷い!」と周囲に話しても「え、何言ってんの?」「いう事を聴かない妹が兄に殴られるの普通だけど?」って反応が可笑しかった。それがシチリアか?!
外国人が外国を旅する旅行記はどの時代のものであっても面白い。「ローラ」という作品も味わい深い。

「ジョーンズ氏」は東西冷戦と日常のひとコマ。
「もてなし」「窓辺の灯」「くららキララ」「銀の酒瓶」はアメリカの田舎の人々の風景。アメリカ人ならじんわり感じる何かがあるんだろうと思う。日本人は洋画を見てる感覚。どれも詩的。
くららきらら?「Dazzle」という原題に河野氏が勝手につけた邦題っぽい。

「無頭の鷹」はぜんぜん頭に入ってこない。NYの男女の風景。解説を読んだら「抽象絵画のようなストーリー」と書かれていた。じゃあ、わからなくて当然だわw

実は今回カポーティーを読んでみた理由のひとつが齋藤飛鳥。あすかちゃんはカポーティを読んだことがあるらしいから。申し訳ないが自分はもう読まないかもしれないw

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