「羊と鋼の森」(2018)を見る。昨年6月に公開された東宝市川南製作映画。監督は橋本光二郎、脚本は金子ありさ。これは最近原作本を読んだので楽しみにして見る。
主演は山﨑賢人だが、この俳優はもうかれこれ10年は悩める10代の役をやっている。
冒頭の高校体育館での調律師三浦友和との出会い。雪国の午後の空気と色合いが自分のイメージにぴったり。
撮影カメラマンは山田康介。自分、この人の映画をわりとよくみてる。「ホットロード」「アオハライド」、なんと「シン・ゴジラ」もこの人。
羊の毛で作られたフェルトのハンマーが鋼の弦をたたく。本からは音は出ない。こういう話は映像があるほうがよい。
就職する社員5人の楽器店も自分のイメージに近い。
ピアノ調律に行く家が原作のイメージよりも雪深い田舎だった。映画では旭川周辺でロケしてるっぽい。
上白石萌音・萌歌姉妹登場。最初に弾くピアノ曲がラヴェル「水の戯れ」。これはおそらく実際は辻井伸行が弾いている。
この姉妹が弾く曲でわからない曲がいくつかあった。姉の弾く曲がショパンの第3番ソナタの第3楽章ばかりだ。
職場の鈴木亮平、三浦友和がいい人。光石研みたいな人と一緒は嫌だ。城田優のフカシっぷりと嫌な客っぷりも想像以上。
鈴木亮平のやってるバンドがエルレっぽいなと思ってたら細美武士「The Autumn Song」という曲だった。
ドイツ人ピアニストの要望にピアノの支柱部分をよっこらしょと変えただけで「Gut」と満足させるシーンを見て、調律師ってそんなことも?一流の世界ってそんななの?!って驚いた。
予告編トレーラーを見ると暑苦しい映画かも…と心配していたけどそれほどでもなかった。でも基本、調律師見習い青年周辺の人間ドラマ。大した事件も起こらないしドラマとしての推進力もない静かな映画。理想の音を求めることは森の中の1本の巨木を探し歩くよう。
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