2019年7月9日火曜日

樋口有介「ぼくはまだ、横浜でキスをしない」(2016)

樋口有介「ぼくはまだ、横浜でキスをしない」(2016 角川春樹事務所)という本があるので読む。
樋口有介は相当にベテランでそこそこ有名な作家なのだが、自分はまだ1冊も読んだことがなかった。今回初めて読む。

高2の主人公が幼なじみ美少女と一緒に電動アシスト自転車で横浜を駆け巡る。
10年前に不審死した少女と、大学助教授だった父親の横浜駅盗撮事件の冤罪、神奈川県警の犯罪をあばく、17歳高2のひと夏の冒険を描いた横浜青春ミステリー。

主人公アキオは木彫芸術家の母(副業のランプシェードづくりで生計)と黄金町で裕福でない生活。
幼いころに、テレビにも出演するタレント学者だった父がつい出来心で美人の女子高生のスカート内を盗撮。たまたまそこに居た私服警察官に逮捕され、社会的地位を失う。母とは離婚。

現在は官能小説作家の父から横浜マリンタワーに呼び出された僕。隠し子を名乗る神奈川県警の女刑事の身元調査を5万円で引き受ける。直接訪ねていって勝手に毛髪を採取。DNA鑑定へ。だが同時に父親の盗撮逮捕は冤罪だったらしいことを知らされる。

さらに、人間の言葉を喋る化け猫にも遭遇。何か成仏できない理由があって猫に乗り移った幽霊か?おそらく20歳前後で10年前に不審死した少女?この子の正体も調査。

さらに港の見える丘公園で小学生時代の同級生だったメイに話しかけられ再会。このフェリスに通う美少女がイカレている。会話と論理回路が普通じゃないのだが、IQ125で東大にも受かるという手に負えない天才。仲良く一緒に捜査開始。

官僚の天下り、警察官僚のワタリと利権を批判していた目障りな学者だった父親は、警察の罠に嵌められていた!そして被害者女子高生は警察官の娘だった?!何か巨大な陰謀?

植草教授手鏡事件(2004)から着想を得たに違いない。

読んでいてとても楽しかった。ふたりの会話のヘンテコさが面白い。そしてラブコメ。
多くの横浜の具体的地名が出てくる。横浜の人はさらに面白いだろうと思う。

映画やドラマの話はないのか?
主人公の少年はいかがわしいDVDをデリバリーするバイトをしているのだが、古書店の28歳人妻(旦那と別居中)と高校入学以来、つきあってるわけでもないのに一年半にわたってただなんとなく性交渉をしている関係なのは違和感。それでは普通の高校生とは言えない。
それに高校生が普通にビールを飲んでいる。ドラマにするには改めないといけないかもしれない。

表紙を飾るモデルは多屋来夢というスターダストのモデルらしい。たしか、広瀬すずが好きだと言っていたモデルのはず。

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