2019年7月8日月曜日

江戸川乱歩「鏡地獄」(大正15年)

江戸川乱歩「鏡地獄」を角川ホラー文庫「江戸川乱歩怪奇幻想傑作選」(平成9年)版で読んだ。

この一冊には「人間椅子」「鏡地獄」「人でなしの恋」「芋虫」「白昼夢」「踊る一寸法師」「パノラマ島奇談」「陰獣」の中短編8本を収録している。
すでに読んだものが多い。今回は未読だった3本のみの感想。

「人間椅子」(大正14年)
これは読んだことがあったのだがそれは英訳版だった。なので乱歩の筆致で読むのは初めて。
読んだことがない人には一体どんな短編なのか見当もつかないと思う。だが、自分が乱歩を読んだことがないという人に最初にオススメしたいのはこの「人間椅子」。短編怪奇幻想小説として大傑作。初めて読んだとき驚いたし笑った。変態男の告白と衝撃のオチw

満島ひかり版NHKBSドラマも見たことがあるのだが、あれはほぼ朗読芝居。満島の一人芝居を見るための映像作品だった。

「鏡地獄」(大正15年)
この短編を読みたくてこの本を手に取った。サッと読んでみたけど短編としては普通の出来だったように思う。レンズと鏡に異常に執着する男が趣味に没頭しすぎて狂っていく顛末。自分の想像力ではあまり映像がイメージできない。

「陰獣」(昭和3年)
115ページの中編なのでサッと読める。完成度が高い本格。

加藤泰による映画を見たことがあるので内容はすでに知っていた。今回読んでみて映画は原作の雰囲気をほぼ忠実に再現していたことを知った。映画でわからなかったことがさらに理解できた。

「孤島の鬼」「パノラマ島奇談」なんかよりもはるかに好き。読み終わった後の満足感と充実。余韻と味わい。
乱歩作品の中でこれが一番のオススメ。ただし、SMがテーマなので高校生以上が望ましい。

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