2019年7月23日火曜日

アガサ・クリスティー「ひらいたトランプ」(1936)

アガサ・クリスティー「ひらいたトランプ」を読む。加島祥造訳クリスティー文庫(2003年)版で読む。
CARDS ON THE TABLE by Agatha Christie 1936
悪党と名高いシャタイナ氏から「殺人を犯しながらも逃げおおせた一級品の殺人者」を集めたというパーティーへポアロが招待される場面からスタート。
バトル警視、レイス大佐、オリヴァ夫人と一緒にブジッジに興じている間に、暖炉の前でシャタイナ氏が刺殺されていた!今回はあっという間に殺人が起こる。

容疑者はもうひとつのテーブルでブリッジに熱中していたロリマー夫人、ロバーツ医師、デスパード少佐、ミス・メレディスの4人しかいない。

容疑者の4人はシャタイナ氏に過去の秘密について弱みを握られて強請られていたのでは?
ポアロ、バトル、レイス、オリヴァ夫人がそれぞれ調査開始。

同じアパートメント内の目と鼻の先で殺人事件が起こり自尊心を踏みにじられたポアロ。捜査会議において、どんな理由があろうとも殺人が絶対に許せない理由を語る。
「人間が他人の命を左右できるという考えに、一度でも取りつかれたものは、もっとも危険な殺人犯人になりかかっているのです。利益のためでなく、思想のために人を殺す、こんな人ははなはだ傲慢な殺人犯です。そういう人は全能の神の権能を奪いとったことになります」
4人の容疑者のうち3人の過去に、事件とはいえないが不審死があったことを探り出す。
毒物の誤飲事件、アマゾンのジャングルで黄熱病で死んだ学者、医師と患者のトラブル…。

ポアロはただひたすらブリッジの得点表から犯行が可能な犯人の性格を読み取ろうとする。容疑者にブリッジと部屋の様子の記憶の質問しかしない。やがてひとりの容疑者を自室に招いて罠をしかける。証拠は何もないのにハッタリをかまして犯人に自供させる。

二転三転する真犯人!ああ、こいつが犯人か…と思わせて、最後の最後でまたひっくり返すのがクリスティ!
「犯人は私だ」という自供に満足しないポアロ。「あなたは嘘をついている!」「私はいつも間違いません」

以前から「ひらいたトランプ」の裏側に書いてあるストーリーの説明「ブリッジの点数表を通してポアロが真相を読む」という箇所を、ルールがわからないと内容を理解できないのでは?と考えて、なかなかこの長編に手を出せずにいた。

この作品はブリッジのルールを知らなくても十分に面白い。
容疑者の周辺情報の調査は人に任せていても、ポアロが十分に活動して活躍していた印象。

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