2019年5月5日日曜日

横溝正史「華やかな野獣」(昭和31年)

横溝正史「華やかな野獣」を読む。1998年春陽文庫版で読む。135Pだからたぶん中編。
「面白倶楽部」(昭和31年12月号)に掲載されたもの。

「華やかな野獣」はたぶん角川文庫版のほうが手に入りやすい。だが、自分は世間の横溝オタたちと違ってあの杉本イラストには生理的に受け付けないものがいくつかある。表紙イラストが気持ち悪くて嫌な感じだと手に取る気も起らないw かと言って春陽版もギリw

しかも、「華やかな野獣」は本格探偵ミステリーというよりも、エロ横溝が強く出た作品。

淫蕩な女主人・高杉奈々子(25)によって毎夜繰り広げられる怪しげな男女による性の饗宴に、ボーイとして潜入した金田一耕助…、という、いかにもな作品。まるで小説で読むアサヒ芸能週刊実話。

カバー裏のあらすじではあけっぴろげに「セッ〇ス・パーティー」と書かれている。そして情交中に奈々子が殺害。そのへんの描写もあるので子どもが読むにはふさわしくない。
ジャニーズ金田一経由で横溝正史に興味を持った女子高生が、この手の作品を最初に手に取らないか、マスカレードホテルと間違わないか心配だw

ちょっとエラリークイーン「スペイン岬」を連想した。ただ、どうってことない作品だ。

春陽文庫版は「鏡が浦の殺人」「車井戸はなぜ軋る」の2短編も収録。
「鏡が浦」は最近読んだばかりなので今回はスルー。「車井戸」は今回しっかり読み返した。

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