宮崎駿監督作ジブリアニメ「風立ちぬ」(2013)を初めて見た。ジブリアニメは日テレ地上波でしか放送されない。録画しておいたものをやっと見た。
何も予備知識がなかった。たぶんゼロ戦開発に携わった堀越二郎の青春を描いている。
堀辰雄「風立ちぬ」の要素も取り入れているようだ。
少年時代の夢のシーンが宮崎駿ならではの才気。宮崎の飛行艇愛。巨大飛行機の羽の上を歩くのは宮崎でしか見たことがない。
イタリア人紳士の声を聴いて一瞬で野村萬斎だとわかった。
で、少年が青年に成長すると声がすごく違和感。なんと声は庵野秀明さんだった。なんと大胆な挑戦だ。すっごい棒読み。
アニメでしかできない関東大震災の表現が素晴らしい。こんなふうに地面や家屋や蒸気機関車と線路がのたうつ表現は初めて見た。その後の地鳴りと風と大火災のシーンの不気味さがナウシカみたいだった。
強風の表現もすばらしい。震災直後に街中へ戻るのは危ないと思った。
ちゃんと喫煙シーンがあることも正しいと思った。ヒロインの父がカリオストロ伯爵そっくりだった。
同級生が西島秀俊だったことにしばらく気がつかなかった。調べてみたらアニメ声優はキャストにまったくいない。
最新科学技術に憧れる少年というテーマはそのまま宮崎駿。でた、計算尺!
「風立ちぬ」が嫌いという人がわからない。主人公が棒だからとか、感情ゼロだとか、そういうことなら理解できる。
けど、戦前の普通の人々の常識を描いたら戦争賛美とか、見当違い。特高警察の恐怖も描いてる。
海軍を相手にした会議はムダと考え話を聴いてないw
技術者としてのエンジン性能と機体重量のせめぎ合い。「機関銃を乗せなければなんとかなるんだけどね」w
大正昭和初期の日本の風景がアニメで見れるのが素晴らしい。大人になっても堀越は夢と現実を行き来する。アニメならではの表現が良い。雑踏の表現も良い。
半分を過ぎたあたりから堀辰雄「風立ちぬ」の雰囲気が強くなる。信州の高原の風景も美しい。
あの結核病棟は良家の子女しか入れない場所っぽい。全員ミノムシのようになって陽に当たってるシーンは堀「風立ちぬ」ではイメージできてなかった。
上司の家での祝言の儀はちょっと見たことない風習で驚いた。
自分としてはたくさん見どころがあった。宮崎駿監督作の中でもかなり上位の作品であるように思えた。
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