2019年2月3日日曜日

島田荘司「斜め屋敷の犯罪」(1982)

島田荘司「斜め屋敷の犯罪」という本がそこにあったので買って帰って読んでみた。今回手に入れたのは1992年版講談社文庫。100円。

これが自分にとって島田荘司の2冊目。1冊目として選んだ本はとてもイマイチだった。玉木宏主演映画も自分の趣味には合っていなかった。
だがこれはカーっぽいんじゃないか?建物自体に異常な特徴がある点で綾辻行人の館シリーズにも影響を与えたんじゃないか?と興味をそそられた。

宗谷岬のはずれ、オホーツク海を見下ろす高台に建つ「斜め屋敷」こと流氷館。建物自体が傾斜していてピサの斜塔のようなものまで付属。だが、窓は正しく設置されている。
金持ち社長がきまぐれで建てて娘とコックと執事夫妻と住んでいる。クリスマスに取引先の社長と秘書兼愛人と運転手、重役夫婦が招待される。あと、大学生が3人。

初日の夜に客である社長の運転手が密室で胸を刺されて奇妙なポーズで死んでいる。

綾辻館シリーズだと若者だけのクローズドサークルなのだが、こちらは中高年男性と若者。しかも途中からは北海道警の刑事と巡査も寝泊まり。外部と普通に連絡も行き来もできる。それでも防げない。そして客の社長も密室で背中を刺されて死んでいる状態で発見される。

3分の2ほど読んでようやく御手洗氏がやってくる。
だが、今まで読んだ御手洗さんとイメージが違う。この人は大学の先生じゃなかったっけ?ここでは占い師として登場。なんか、エキセントリックな人物になってる。警察から信頼も歓迎もされてない。
そんでもってそれほど苦労もせず犯人を罠にはめて事件解決。

自分はこの特異な館の見取り図的なものにそれほど注意せずさらさらと流して読んでいた。ページをめくる推進力はあまり感じない。

館自体が凶器という大ネタにはそれはそれで驚いた。こいつがしっかり映像としてイメージできる人は楽しめただろうと思う。
こんなトリック、誰もわからないと思う。口あんぐり。

だが、思わず「バカミス!」と叫んだw 調べてみたら世間の評価も同じらしい。
そんな物理的トリックにはそれほど関心はない。再現映像でしっかり見せてもらえたとしてもそんなに驚かない。天狗のお面をそんなふうに使うシーンはぜひ再現映像で見たい。

犯人、あっさりゲロしすぎ。動機もウエットで重いが、1人目の殺害動機にはまったく納得できない。
それに登場人物たちの会話が、クリスティーとか読んだ直後だと洗練を感じない。旧日本人も現日本人もわりと下品。
クリスティー女史の描く英国人は紳士だと改めて思った。クリスティーの人間ドラマのほうが好き。
島田荘司の個人的評価、いまだに浮上せず。

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