2019年2月5日火曜日

島田荘司「占星術殺人事件」(1981)

島田荘司「占星術殺人事件」(1981)を読む。これが島田荘司のデビュー作にして御手洗潔探偵の第1作らしい。100円でゲット。

今回手に入れたものは1987年講談社文庫版の2007年第47刷(!)。日本のミステリー愛好家たちの間で長年読み継がれてきた古典的名作らしい。
それにしても表紙イラストもデザインも購入を躊躇するほどにダサイ。

綾辻を読むようになって、エアーポケットのようにすっぽり抜け落ちたこの世代の代表的作家・島田荘司にも手を出してしまった。
表紙からなんとなくイメージしていた内容とまったく違っていた。

占星術占い師・御手洗さんが話を聴くだけで40年前の事件を解く。なんと御手洗さんは鬱病という設定。友人石岡と張り合うように謎を解く。御手洗さんはかなりエキセントリックで世話のかかる人。この二人はお金もない。

昭和11年、2.26事件の雪の夜、パリ帰りの洋画家が土蔵で頭を殴られ死亡。この第1の殺人が密室。
引き出しから娘たちをバラバラにして1体の人間を作り上げるという野望を書いたかなりイッちゃった手記が発見される。

つづいて娘のひとりが自宅で強盗に頭を花瓶で殴られ死んでいる。暴行された跡もある。
さらに、6人の娘たちがことごとく体の一部を切り取られた状態で日本各地に埋められている!という大量猟奇殺人へと発展!なにそれ、怖い!

さすが名作といわれるだけあって読み終わった後にそれなりの満足感と充実感はあった。たいへん野心的な力作。
「―」の死体を「―」にするというトリックは他に聞いたことのないアイデアで偉大。

だが、読み難い。理解しにくい。登場人物が多すぎて脳内メモリーの容量を超える。画家の手記と警察官の手記は読んでいて現在地を見失う。
細かい内容は数行読むともう忘れてる。読者が記憶すべきポイントとそれ以外は区別できるようにしてほしい。

雪の上の足跡の件はあんまり興味がもてず流して読んだ。ボリュームを半分ぐらいにしてほしかった。「占星術殺人事件」というタイトルもあんまり合ってない。

2 件のコメント:

  1. 『占星術』を読んだときは、すっかり引き込まれて、本屋を巡って島田荘司の名前の本を買いあさった記憶があります。
    そのころは珍しい機械トリック。独創的なアイディア。まさに孤高の作家でした。
    綾辻行人、歌野晶午、麻耶雄嵩らの新本格派が続々講談社系でデビューする際には、まだ無名で未熟な彼らの防波堤になっていたと思う。
    彼らの単行本の中に島田の解説や推薦文を何度も見ました。

    御手洗と石岡の関係には、女性ファンが多くて、これは同人誌やBL本の走りではなかったでしょうか。
    たぶんそのきっかけとなった第三作『異邦の騎士』は『占星術殺人事件』と並んで私の中では最高の作品です。

    御手洗潔シリーズは短篇集を含めて、外れが少ないけれど、シリーズ以外では『北の夕鶴2/3の殺人』(吉敷竹史シリーズ)が良い出来だと思います。

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    1. しまった。「異邦の騎士」と迷って「暗闇坂」を買ってしまいました。でも、島田荘司は入手に難しくないからいずれ読むと思います。

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