2019年1月2日水曜日

長澤まさみ「嘘を愛する女」(2018)

長澤まさみ主演映画「嘘を愛する女」(2018 東宝)をやっと見る。高橋一生との共演はじつに「セカチュー」以来。

東宝・市川南プロデューサーとROBOT製作のオリジナル脚本?
昏睡状態になった恋人が実は免許証も偽造で職業も経歴もすべて嘘であることを知ったヒロインの調査と旅という映画。

このストーリーのモデルとなったのは平成3年11月4日朝日新聞朝刊社会面の記事。「夫はだれだった?」という、5年間連れ添った内縁の妻の声。この記事をふくらませて映画にしたのがこの作品らしい。
最近もこれと似たような事件があった。おそらく無戸籍。病院へも行ったことがなかったらしい。たまにそんな人がいる。
これ、暗い気分になりそうで、あんまり見たい気分になれなかった。今日まで放置してた。
長澤まさみ版「ゼロの焦点」になってくれそうな予感はしたのだが、つまらなそうな不安もあった。そもそもフィクションであったとしても愛する人がいるまさみは見たくなかったw

あの震災の日、地下鉄ホームで苦しんでるところを助けてもらい、再び再開し同棲。
まさみは「Woman of the year」とか取ってしまうような仕事のできるスーパーキャリアウーマン。酔っぱらって帰ってくるまさみに「おかえり」とか言う男、それは夢のような生活。

なにげに東宝芸能のセンパイ野波麻帆との共演に驚いた。まさみのほうがカンロクがすごい。この映画のまさみはアラフォー女にすら見える…。
「モテキ」「潔く柔く」とか、ほんの最近までこどもっぽいまさみを愛していたというのに。なんか、女の人の成長の速さに寂しくなる。

ヒロインの彼(高橋一生)は「バイト並みの給料しか稼いでいない」「いまどき携帯も持ってない」など、おかしな点はあった。まさみの母親と初めて会うというのに彼はやってこない。
まさみは警察官に連れられて昏睡状態の高橋と面会。くも膜下出血で倒れているところを発見されて緊急搬送されたとのこと。
免許証は偽造、個人の情報はすべてデタラメ。このシーンのまさみの「ええぇぇっ?!」って表情が良い。

小出と名乗っていた男とヒロインは内縁関係しかない。部屋をあさってみても、男の身元を特定できるものは何もみつからない。
男は無保険だし、誰が治療費の負担を?

身元を調べてほしいと警察に伝えても相手にされない。警察「こういう人はよくいるんですよ。借金とかで」「結婚する前にわかってラッキーですね」
小出の勤め先に行ってみる。事務員の半笑いの態度、ムカつく。
まさみは探偵(吉田鋼太郎)に調査を依頼。そのIT担当助手がDAIIGO。「ま、三流の結婚詐欺師ってとこだろ」

喫茶店のメイド川栄李奈の登場のしかたが面白い。マンションの郵便受けってあんな感じで開けられるの?!
こいつの証言で小出はロッカーにパソコンがあり、原稿用紙700枚におよぶ小説が書いてあった。こいつを調べればなんとかなるかもしれない。瀬戸内の灯台が鍵か?まさみは瀬戸内へ単身調査へ。

飲み屋によそよそしく入って次のカットでもう泥酔のまさみが可笑しい。
吉田からタバコを1本もらって吸うシーンがすごくカッコイイ。まさみと吉田の調査旅行が楽しそう。

このコンビがとてもよい。民宿で部屋がひとつしかない!とかラブコメ定番w 
「だから奥さんに逃げられるんですよ!」って言うまさみの声質w 中学生のころから見ている自分からすると、だいぶ変わったなあw
ホクロの件での「ち、違う!」のやりとりのコメディぶりw

ヒロインの執念がすごい。これほどまでに執着されるってこれ以上ない幸せ。
だが、この調査はやがて行き詰まる。やっと手繰り寄せたかに思えた手がかりも潰えた…。見てる側も絶望…。だがしかし!

希望のあるラスト。現実の方がもっとシビアでドライかもしれない。
仕事なんて頑張らないで生活を優先しろというメッセージを感じた。
「散歩する侵略者」のカリカリ怒ってるまさみはとても魅力的だったけど、「嘘を愛する女」のまさみも十分に魅力的。この2本はセットで見てもよいと思う。

まさみはこの役の女性にあまり共感できなかったようだが、自分はこの役を演じているまさみが好き。現在のまさみが女優として持てる技量のすべてをぶつけた役だったように見えた。

まさみが女優としてともて輝いていた。今まで見て来たまさみ映画の中で、もっともまさみの女優としての見せどころが多かった映画だったように思えた。女優賞を与えてよい出来栄え。

中学生のとき「ロボコン」で見た瀬戸内の海と、30代の人気女優になって見る瀬戸内の海はまさみにとって、どう違って見えた?

脇役たちのキャラもすばらしい。脚本も十分に時間をかけて練り込まれたように感じた。吉田鋼太郎は助演男優賞クラスの活躍。
自分はこの映画が好き。十分にオススメできる。見ろ!

主題歌は松たか子「つなぐもの」。

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