2019年1月24日木曜日

綾辻行人「びっくり館の殺人」(2006)

綾辻行人「びっくり館の殺人」講談社ミステリーランド版を児童書コーナーで見つけて手に取った。

調べてみたら、七戸優装画挿絵で児童書として2006年に出版されたこの版が初出。しかし、同年には講談社文庫版も出ている。

自分はたいてい文庫本を選ぶのでこいつを買うのに逡巡した。しかし、初版だし、200円だしということで買って帰った。BO相場はたぶん200円。
こいつを購入して1週間後ぐらいに文庫版を100円で見つけてちょっとブルーw でもこちらの判も手元にあっていい。しっくり手に馴染む。

いきなりクリスマスの密室殺人の現場からスタート。青年が小学生時代に体験した事件を回顧する形式。

児童書なので主人公が10才の小学生。漢字には振り仮名がふってあるし表現が平易で子どもに語り掛けるよう。挿絵もある。この雰囲気は小学校高学年男子にはたまらない。

芦屋あたりが舞台?お屋敷町にある洋館が気になる三知也くん。たまたま門が開いているので中に入るとバルコニーから声をかけられる。同じ年の少年・俊生くんと友達になる。

「びっくり館」は体が弱く学校に通えない俊生くんと当主の祖父の二人暮らし。たまに家政婦と家庭教師がやってくる。
俊生くんには梨里香というお姉さんがいたのだが、この屋敷で死んだ?両親は?そのへんは口を濁す。
三知也くんも中学生だったお兄さんをイジメ自殺で亡くしていたという過去が。

サンタのような白いあごひげの祖父はちょっと怖そうなのだが、なぜか梨里香という人形でいきなり腹話術を披露して小学生たち困惑。しかもこの老人が狭心症の発作を起こす。

俊生くんは祖父の留守中に三知也くんをリリカの部屋に案内。この館が壁に埋まってるびっくり箱を順番に開けると隣の部屋の扉が開くしくみ。
そしてクリスマスの夜の惨劇。

これ、鹿谷門実が事件とまったく関係なく1回登場するのみで笑った。最後まで読んでもあの1回しか登場しないw

児童向けとはいってもやっぱり大人の読者を満足させる1冊だった。広くオススメする。
これも映像化は難しい。
今の子どもは叙述トリックを理解できるの?てか、小学生のころの自分にはその意味を理解できなかったかもしれない。ラストはなにやらホラーをほのめかす。

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