2019年1月12日土曜日

アガサ・クリスティー「復讐の女神」(1971)

アガサ・クリスティー「復讐の女神」乾信一郎訳1980年版ハヤカワ・ミステリ文庫を読む。
NEMESIS by Agatha Christie 1971
これは「カリブ海の秘密」の続編。実は「カリブ海の秘密」を買った店で同時に手に入れた。おそらく前の所有者は同じだな。1984年第14刷。100円でゲット。

これ、表紙イラストとタイトルから予想していた内容とまるで違っていた。マープル婆さんの大英帝国貴族の館&庭園巡りミステリーバスツアーw

「カリブ海の秘密」でマープル婆さんと一緒に事件解決に一役買った富豪老人ラフィール氏は帰国後病死したのだが、遺言によってある条件のもとに多額の遺産がミス・マープルに譲られると顧問弁護士から知らされる。
だが、それ以外は何も知らされない。後日、旅行会社主催の団体バス旅行に参加してという指示の手紙が来る。

アン女王時代の館や庭園を見て歩いて疲れるマープル。訪問先で待ち構えていた夫人から招待を受けてツアーを一時離脱。その館で我が子同然に育てられていた美少女がラフィール氏の息子に殺害されるという事件が起きていた?!
そしてマープルが不在のツアーで、少女殺害事件の事情を知る女学校の元校長が落石事故で重体?!

この本はずっとミス・マープル主観で心の声と会話がひたすら続く。過去にあったかもしれない事件を掘り起こすコールド・ケースもの。
読者はミス・マープルと一緒に「何がどうなってる?」と考えることになる。

これが自分とテンポが合って読みやすい。ミス・マープルの人間観察力と洞察力、コミュニケーション技術にひたすら感心。
サスペンス映画を見終わったような味わい。意外っちゃ意外な真相ではあった。恐るべき婆さんだった。

クリスティ女史81歳のときの作品。これがミス・マープルの最終作。ラストはこれが最後という感じの味わい深さがある。

できることなら「カリブ海の秘密」を読んだ直後に読むほうがいい。自分はインターバルがあったためにラフィール氏とのやりとりを忘れていた。

自分はこれまで「鏡は横にひび割れて」「ポケットにライ麦を」「バートラムホテルにて」「カリブ海の秘密」とマープルシリーズを読んできた。この「復讐の女神」で、どちらかというとラストに近いほうの5作から先に読んでしまった。今後も出会い次第読んでいく。

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