2018年12月13日木曜日

新山詩織ラストライブ「LIVE OF PAUSE 20181212」@渋谷WWW

ついに新山詩織の活動休止前最後の渋谷WWWライブの日がやってきた。寒い夜だった。

新山詩織が活動休止を発表したのが10月20日。その第一報を聞いたとき、それはがっくりきた。だが、自分はなんだか受け止める準備もできていた気がする。

なにせ活動6年。ビーイングさんは親身になってがんばって色々な手を打ってくれた気がする。福山雅治との共演でドラマに出させたり、岩井俊二監督にMVを撮ってもらったり、話題づくりに勤しんだ。
だが、やっぱりCDは売れなかったし、音楽番組にも呼ばれない。結果が伴わない。たぶん本人も焦っていたかもしれない。自分も焦っていた。

ライブ会場には大学生ぐらいから60代ぐらいまで幅広いファンがいた。だが9割以上が男性。あまり女性たちに新山の素朴な歌唱とギターとキャラは届いていなかった気がする。ブレイクできなかった要因はそこかな。

自分は2012年12月にステレオポニーというガールズバンドの最期を見届けた。YUIのソロでの活動の休止も見届けた。そこに入れ替わるように出現したのが新山詩織だった。

自分は2013年の夏フェスJOIN ALIVE(岩見沢)が初めての生での新山だったのだが、今生まれたの?ってぐらいに儚げ。元気いっぱいでない。明るくないというところが新しいw

このとき以来、今回のラストライブまで、ワンマン、フェスを含めて5年間でじつに14回新山詩織をライブで見てきた。
CDもシングルをほとんど買ったし、自分としてはがんばって応援してきたつもり。新山詩織の音楽が広く世間に届かなかったことに失望。そして自分ひとりの無力さに絶望。
この日のライブ、事前に前売りでSOLDOUT! 
これぐらい毎回ライブに人が来てくれれば、EXシアターが完売していれば、Zeppへと展望が開けたかもしれなかったな。などと思った。

300番台のチケットだったのだが、ぜんぜんステージが見えなかった。最上段最後列で音だけ聴いていた。この会場はギッチリ収容で番号がよくないとたちまち糞ライブハウス。ステージがよく見える場所を求めて移動できないし。

なんとか背伸びして頭と頭の間からチラ見した感じだと、新山は広瀬すずみたいなショートになっていた。衣装は白いドレスのようなワンピースだったようだ。

この日はすべて新山ひとりによるギター弾き語りスタイル。
「Looking to the sky」「絶対」と演奏して注目の最初のMC
「みなさん、こんばんは。とてもお久しぶりになってしまいました」(自分は2月の赤坂BLITZぶり)
「12月12日でデビューからちょうど6年」「10月に活動休止を発表しました」「最後までいつも通り1曲1曲を届けていく」とのこと。

6曲目「分かってるよ」が終わってMC2回目。
「この会場での弾き語りはオーディションぶり」「先月、両親と町田康さんのバンドを見に来て以来」「町田さんが、書くにも歌うにも本当のことを言わないといかんみたいなことを言っていた。ありまのままの自分を出せたらいいなと思って歌ってきた」「次はそんな思いで書いた初めての曲」「ギターなしの声だけで歌います」と語った後の「だからさ」。

「名前のない手紙」では演奏を途中で一旦止め、また再開。何が起こったのか?自分の場所からはわからない。

ここまで聴いてきて、新山詩織の楽曲はどれもとてつもなくしんみりした曲だったんだなと思った。
その一方、新山のMCはところどころ「うふふふ」と笑いを入れながら、どこか吹っ切ったような?清々しい爽やかなトークぶりだった。
「活動休止は自分で決めたこと」「今日こうして歌っていられるのはみなさんのおかげ」「感謝を歌に乗せて届いたらいい。届いたかな?」会場内から大きな拍手。

「来年から色々な景色を見たい」「もう一歩前へ行きたいという前向きな気持ち」「言葉足らずで申し訳ない」「デビューしたてのころは下を向いてばかり。MCもこんなふうに喋れなかった」「成長できたのはみなさんのおかげ」「新しい年からみなさんもいろんな日々がある。ぜひ悔いのないように過ごしてほしい」そして最後の曲「もう行かなくちゃ」を披露。

新山の楽曲はすべて、新山が教室で部屋で膝を抱えて悩んでいた自分から一歩踏み出すような等身大の歌詞を持った楽曲だった。
それがこの日は、音楽を一旦そっと置いて、新しい道へ進む希望を歌っていた。

自分は事前に会場からすすり泣きが漏れるような、新山が号泣するようなライブだったら行きたくないなと思っていた。だが、アンコールでも新山は最後までずっと希望にあふれた笑顔MCだった。いつもと変わらない丁寧な言葉遣いの朴訥とした、うふふふという笑いを交えたひとりトークだった。

今後の新山の新たな夢が何であるのか?についてはまったく具体的な言及がなかった。ひょっとすると今後もその件については何も発言しないかもしれない。

本当に最後の曲「ゆれるユレル」が終わって舞台から一度消えた後再び舞台へ。このときの挨拶でようやく新山は初めての涙を見せた。

自分はライブのタイトルが「LIVE OF PAUSE 20181212」と聞いて、今回の新山の決断はPAUSEなんだと、音楽以外の道へ進むということではないんだとちょっとは希望を思ったのだが、やはり新山はもう帰ってこないかもしれないな…と思った。そんな気がした。本当に寂しく哀しい。

とにかく元気でいてくれ。いつか楽しそうに幸せにしている姿を見せてくれ。ただそれだけが希望。

新山詩織 LIVE OF PAUSE 20181212 セットリスト
01.Looking to the sky
02.絶対
03.「大丈夫」だって
04.たんぽぽ
05.シャボン玉みたいに
06.分かってるよ
07.だからさ
08.きらきら
09.Hello
10.I Feel The Earth Move(Carole King)
11.丸の内サディスティック(椎名林檎)
12.Don't Cry
13.恋の中
14.四丁目の交差点
15.名前のない手紙
16.もう、行かなくちゃ。
アンコール
01.ありがとう
02.ゆれるユレル
6年とは決して短くないし長いはずなのだが、自分にはあっという間だったように感じられた。無常を感じた。
今年は平成最後の年。多くの訃報も耳にしたし、身近でもいろんなものが変わった。よく行くお店もなくなった。

渋谷とはもう四半世紀の付き合いだが、ずいぶんといろいろなものが変わった。渋谷公会堂もSHIBUYA-AXもなくなった。
渋谷でよく行っていた書店もなくなった。ライブの時間調整の暇つぶしに使っていたブックオフが渋谷からなくなっていたのも失望した。

もう昔のようにとりあえず渋谷へ行くということもまったくなくなっていた。もう今後は渋谷のライブハウスに音楽を聴きにくるということもないかもしれない。そんな気がする。

もう渋谷を卒業していい。渋谷に行っても欲しいものもない。もう何もわくわくしない。渋谷は訪日外国人は増えた気がするけど、街は昔よりも暗くなった気がする。きらきらしていない。渋谷を断捨離していい。そんなことまでも想った新山詩織ラストライブだった。

自分も来年は何かまったく違う道へ進みたい気がする。何か新しい楽しいことを見つけないともう生きる希望もない。自分もどこか遠くへ行きたい。東京にいる必要も感じない。

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