2018年12月2日日曜日

横溝正史「幽霊座」(昭和27年)

横溝正史「幽霊座」角川文庫の昭和54年第20刷を手に入れた。100円。
3本の中編から成る1冊。すべて金田一耕助探偵が登場。

「幽霊座」(昭和27年)
浅草駒形橋の芝居小屋が舞台の作品。昭和11年、金田一さんと親交のあった歌舞伎役者が「鯉つかみ」という芝居を上演中に失踪。それから17年、同じ芝居の追善興行で失踪した役者の弟が毒殺。

検死の結果、毒入りチョコレートで殺されたと見せかけて、実はニコチン毒針で刺されていた。金田一さんは有名海外ミステリ作品を思い浮かべる。あ、これエラリー・クイーンの「Xの悲劇」だ。

これ、期待しないで読んだのだがわりと佳作。横溝正史っぽい作風。それにしてもこんなアホ犯人はどんなダメ探偵でもしっぽつかまれるに決まってる。

「鴉」(昭和26年)
磯川警部と骨休めにきたつもりが3年前の失踪事件の捜査に引き込まれる金田一さん。
夫が蔵の中から失踪。3年後に帰ってくると言い残してその3年目がやってくる。意外な事件と意外な真相。これもなかなか面白かった。田舎の温泉宿は「悪魔の手毬唄」も想わせる。

「トランプ台上の首」(昭和32年)
浅草ストリップ嬢が自宅アパートでトランプテーブル上で生首だけが発見されるという、絵面的にも最悪な事件。

「首なし死体」でなく、首のみ発見されるというテーマは「夜歩く」にもあった。なんとなく予想しながら読む。ところでへその周りが蜘蛛に見える…という、そんな病気が本当にあるの?
この時代の男女の性欲がすごい。捜査する刑事たちの会話も下世話で長い。面白さは…72点ぐらいかな。

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