2018年12月30日日曜日

北川景子「サウスバウンド」(2007)

「間宮兄弟」の次の森田芳光監督脚本作が奥田英朗の小説の映画化作品「サウスバウンド」(2007 角川)。

「間宮兄弟」に引き続き北川景子が出演しているので見る。北川は2度森田に映画に呼んでもらえたことに感謝しとても嬉しかったとのこと。自分、まだ奥田英朗は1冊も読んだことがない。

全共闘の闘士だった破天荒男(豊川悦司)とその家族が主人公のホームドラマ。

小学生の息子「お父さん、お客さんだよ。出ないの?」父「あれ(社保庁職員)は客じゃない。押し売りだ。」というような会話をしているような家庭。この父親がなんら働いてない。
妻(天海祐希)もかつての闘士?すらっと背が高くしっかりハキハキした人。
小学生の長男は正義感が強くとてもしっかりした常識的若者。

北川は豊悦の長女(グラフィックデザイナー)役だが、スーツ姿で疲れ切って家に帰ってくるシーンしかない。「わたし、1人暮らしすることにするわ」
「間宮兄弟」「モップガール」とほとんど変わらない質感の表情でそこにいる。小学生の妹の名前はモモコだ。出演シーンは少ない。

台東区が舞台のようだ。小学生が近所のフィリピンパブのホステスに詳しくなってるシーンとか可笑しい。「俺はこんな国を脱出したい」と小学生に思わせるような、いじめと暴力の酷い街として描かれてるw 大人たちも酷い。

子ども同士のケンカ事件を契機に家族そろって父の故郷である沖縄西表島へ移住。「これで汚い東京の空気ともお別れだ」
荒れ地の中の廃屋のような家に子どもたちは困惑。まるで「北の国から」。親たちは楽しそうだが子供たちは将来が不安。子どもを小学校に通わせる気もない両親ってどうなん?

やがて現実が。東京の開発企業が違法に土地を占拠していると脅してきた。物分かりのよさそうな島の駐在さん(松山ケンイチ)が「さすがにまずい」と言ってくる。開発業者、県警とも闘うことに。そのへんはリアルなようでリアルでない。企業側の弁護士のへらへらした態度はリアルで感心。

まったく笑えないアナーキー夫婦一代記。この夫婦の理想は北センチネル島のような政府統治も介在しない石器時代の生活か?
豊悦はこのキャラにまったく合っていない気がした。家族愛コメディ?と思いきや、ラストで家族を棄てて逃亡。子どもたちへの責任は何も考えていない?実は両親は宇宙人なので宇宙に帰りますというシーンに見えた。

子役が下手すぎるという意見があるようだが、自分は上手すぎる子役は不要という立場。淡々として無表情なほうがリアル。この映画は演技素人の人も出演していたようだ。
そしてストーリーは荒唐無稽に終始した。どのシーンもシュール。

大人たちに振り回される子供たちを見て、オウム事件やヤマギシ会も連想した。ハチャメチャ映画だった。森田芳光、何を描きたかった?

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