2018年8月17日金曜日

橋本愛「美しい星」(2017)

昨年公開された「美しい星」(2017 GAGA)という映画があるので見てみる。橋本愛が出ているので見てみる。何も予備知識がない。

「美しい星」は三島由紀夫原作のSF小説。三島は格調高い美しい日本語の名人で文豪。だが、通俗的小説も書く。この本は以前から読みたいと思っているのだが未だに見つけられず読めないままでいた。映像で見れるなら先に映画で見ようか。

文学作品の映画化って近年あまりない。難しい挑戦だから?
今回、「桐島部活やめるってよ」「紙の月」などで巨匠の道を歩み始めている吉田大八監督脚本による映画化。それなりに期待していいはずだ。
主演はリリー・フランキー。そして橋本愛、亀梨和也、中嶋朋子、佐々木蔵之介というキャスト。話題にならないほうがおかしい。
だが、あんまり話題を聞かなかった。映画賞レースにも絡んでいない。なぜだ?

主人公は気象予報士リリーさん。微妙に嫌な大人。この映画、表向きは爽やかでも微妙に不快な人々が沢山出てくる。いやらしい大人、傲慢な大人、無礼な大人、今の日本社会そのものだ。そして微妙に嫌な映像の連続で嫌~な気分になっていく…。
自転車便フリーターの長男(亀梨)は路上でトラブった代議士の秘書を手伝うようになり、妻(中嶋)はマルチに引っ掛かる。
女子大生の娘(橋本)も周囲の人々とのストレスだらけ。「パークス」とはまるで真逆な暗さ。
ミスコン出場を強引に迫られたりとか、いきなりCD渡してお金を要求するストリートミュージシャンとかw
で、そのCD聴いて感動しちゃったりして金沢でのライブまで追っかけ。どんどんはまり込んでいく。

このミュージシャンがヤバイ目つきでUFO体験を語る。なんか、90年代に若者たちがオウムにはまり込んでいった過程を見せられてるかのよう。ヨガやったって「解脱」なんてできなかっただろ。呼びかけたってUFOが来るわけないだろ。ダメだこりゃ。
この幸薄い感じの橋本愛がやたら美しくて困る…。
この映画の中盤にある亀梨がエレベーターの中で悪夢を繰り返し見るシーンと、橋本愛がUFOを見るシーンが「なんじゃこりゃあ!」と叫びたくなるぐらいに凄まじい映像作品になっていてぶったまげた。
たぶんドラッグやったときの感覚ってこうだろうな…と思わせるテンション。この数分間が大興奮!凄すぎた。

撮影カメラマンが近藤龍人なのか!どうりでビシッと決まってる。なんか、映像が美しくて、BGMがコンテンポラリーっぽくてかっこよくて引き込まれる。音楽は渡邊琢磨という人だ。

やがてリリー一家それぞれが妄想に突き動かされて行く。リリーは生放送で天気予報そっちのけに迫りくる地球温暖化の脅威を説く。予測不能なトリッキーな発言に周囲がどんびき困惑。この人、狂ったの? こんなん1回でクビだろ。テレビのニュースショーの現場もリアルに描く。

内容が意味不明社会派議論系シュールSF。誇大妄想癖のある人同士の巻き起こす大放送事故。実はミステリー?
吉田脚本は「不都合な真実」的な地球温暖化議論をしていると見せかけて家族がテーマか? 戦後日本社会への批判か? 着地点が見えず、ずっと落ち着かない。意味が分からないw
橋本愛がとてつもなく美人。橋本が好きな人は必ず見るべき。
佐々木蔵之介の正体が何だったのか?最後までよくわからなかった。亀梨のIDが無効になってたの、どうゆうこと?秘書はどこ行った?

この映画、自分にはめちゃめちゃ面白かった!壮大でシュールなコメディとしてクオリティが高い。何が何だかわからないがスゴイと感じる映画。
映像と音楽と編集がハイセンス。自分の吉田大八の評価がさらに増した。もっと話題になっていい。もっと見られるべき作品だ。広くオススメ。
PS.佐々木蔵之介と亀梨の食事シーンに、2か月ほど前にたまたま行ったラーメン屋がロケ地に使われいてびっくりした。立川市の五日市街道沿いにある八王子ラーメン三番亭という店。

普通に美味しいラーメンで、ラーメン自体の写真を撮り忘れた。
八王子ラーメンって、しょうゆラーメンに刻んだタマネギが載ってるもの?自分、あんまりラーメンに詳しくないけど、今後は八王子ラーメンという謎ジャンルを専攻して行きたいと思った。
店内に「美しい星」ロケの状況を伝えるものは何もなかった。だが、私立恵比寿中の子のサインはあった。

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