2018年4月28日土曜日

アガサ・クリスティー「エッジウェア卿の死」(1933)

アガサ・クリスティー「エッジウェア卿の死」(1933)を読む。
今回自分が手に入れたものは福島正実訳2004年早川書房クリスティー文庫。わりとキレイな本なのに100円でゲット。トールサイズ文庫本は活字が大きく読みやすくて良い。
LORD EDGWARE DIES by Agatha Christie 1933
この作品は創元推理文庫では「晩餐会の13人」というタイトルになっている。

サヴォイホテルで夕食中のポアロとヘイスティングズ、若い女優ジェーン・ウィルキンスンから話しかけられ、夫であるエッジウェア卿との離婚相談を受ける。卿と離婚できればさらに金持ちの公爵と結婚できるらしい。
「刑事事件専門だから」と断ろうとするのだが「探偵ならではの云い方で卿を説得できるはず」と強く言いくるめられて引き受ける。

エキセントリックで有名なエッジウェア卿と面会したポアロ。「もう離婚に同意する手紙出したけど?」と言われて面食らう。

やがて卿は自宅で首を刺されて死んでいる。犯行直前自宅に夫人が来ていた?だがそれはモノマネ芸を得意とする別の舞台女優?夫人は別の場所でパーティーに出席していたアリバイが?犯行現場に前妻との娘と、卿が死ねば多額の遺産を受け継ぐお金に困った甥が居合わせてた?若くハンサムな執事の失踪?やがて第2第3の殺人が…というストーリー。

相変わらずポアロとヘイスティングズが「仲良くケンカしな」状態でぐだぐだ捜査。ポアロがなかなか真相がつかめなくて、ヘイスティングズがポアロが何をしてるのかまったく理解できなくて、読者もなにがなんだかで困惑。

この時期のジャップ警部はポアロにあんまり敬意を払っていない?意見は聴きに来るけど、なんだかギスギスしてる。

イライラの極致でやっとポアロは真実をつかむ。街でぐうぜん耳にした会話から。
ポアロが一同を集めて披露する真相がすごい。クリスティー女史のミスリードの巧みさに感服。

自分を頭が良いと自惚れてたサイコパス犯人が、とある場面で失敗するのがユーモアがあって面白い。
あと、たいした話もないのにやってくるヤツには必ず別の意図があるって、現代を生きる我々にも大切な教訓。

ポアロは自分をマヌケ探偵扱いして利用したやつらに容赦ないw その一方で2回もおっちょこちょいを装う手品で証拠を得る。キッチリ落とし前をつけさせる。懲らしめる。すごい探偵だよ。
最後の犯人からの独白の手紙はサイコパス臭がすごい。3人殺しておいてなんら良心の呵責がない。

「エッジウェア卿の死」はクリスティー愛好者なら必ず読まないといけない1冊だと感じた。強くオススメする。

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