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2017年6月26日月曜日

新田次郎「つぶやき岩の秘密」(1972)

新田次郎というと、重厚な人間ドラマの心理描写と、確かな自然観察力を駆使した山岳小説の大家というイメージだった。近年になって歴史小説も残していることを知り、今年になって少年向け冒険小説も書いていたことを初めて知った。

東北を旅行中にたまたま時間を調整するために入った古本屋チェーン店でこの本を買った。
昭和47年1月に新潮社より出版された新田次郎の児童文学作品「つぶやき岩の秘密」の平成24年新潮文庫版。108円で購入。
70年代にNHK少年ドラマシリーズでドラマ化放送されたことがあるので、50代の人にはよく知られていた作品らしい。自分はまったく知らなかった。

読み始めて驚いた。新田次郎がこんな少年探偵団テイストの冒険小説を書いていたとは!

両親を海の事故で失い祖父母に育てられている12歳の少年が主人公。
日本軍の秘密の地下要塞、謎の老人、地下道探索、殺人事件、暗号解読、そして金塊…、これ、面白い!今の大人が読んでも面白い!

この本は新田次郎が孫のために面白い本を書きたい!という動機で書いたものらしい。ページをめくる度に自分は作者の子供たちへの深い愛情とメッセージを感じ取って感動していた。さらに偉大な作家だと改めて思う。

気象学者としての自然科学への豊富な知見を盛り込んでの話の筋道と説明、主人公の少年の心理描写は新田次郎にしか書けないことだと思った。自然科学への理解と論理的な判断力があれば、山も海も素晴らしい冒険の世界が待っている!という子供たちへのメッセージ。

小学校高学年から高1ぐらいの生徒にもオススメだし、かつて少年だったすべての大人たちにも強くオススメする。三浦半島が舞台になっているので、三浦市あたりの人なら活き活きと情景が浮かぶことだと思う。もっともっと世間に知られていい名作!

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