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2017年6月22日木曜日

谷崎潤一郎 「武州公秘話」(昭和10年)

谷崎潤一郎 「武州公秘話」という時代小説を手に入れた。自分が手に入れたものは2005年の中公文庫(2014年第2刷)。108円。

これ、初めて存在を知った本だったのだが、自分の知らない歴史秘話的な話かとおもいきや、黒沢映画みたいな架空のフィクション戦国時代劇だった。

なんと序文は漢文で非常にとっつきにくい本に思えるのだが、ほとんどの部分は現代語。谷崎が架空の歴史書まで登場させてそれっぽい語り口で書き上げた谷崎流のファンタジー歴史絵巻。架空の筑摩家の正史「筑摩軍記」と、戦国武将である武州公に仕えた道阿弥による物語に、現代的な解釈を谷崎が加える…というてい。

昭和6年から昭和7年にかけて、なんと探偵小説雑誌の「新青年」に連載された。なるほど、被虐性的変態性慾がテーマだし、残虐だしグロい。

主人公が13歳のときに体験した籠城戦で、老婆の手引きで屋根裏で目撃した若い美しい女が敵将の首をきれいに洗い清め、髪を整え化粧を施す場面を目撃し、被虐性的変態が目覚めるw

鼻が欠いた首にただならぬ興味を抱き、敵陣に飛び込んだものの予定が狂い、敵大将の鼻だけを奪ってくることで起こった異常な話。
その敵将の娘・桔梗の方は鼻を失うという父の汚辱を晴らすために、主人公の主君の則重の顔を不具にしていく。
戦国時代を残虐だと言ってもせんなきことだが、汚辱を与えるために顔を破壊するという発想は残酷すぎるなと感じた。異常なシーンの描写が続く。

鼻がないことを恥じて武士としての最期をとげることもできない暗愚な則重が哀れ。読んでいてつらい。

読んでよかったか? 谷崎の語り口と文体には感心した。だが、もうこの手のタイプの本は読まないと思うw 少年少女には読ませるべきでない。

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