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2017年1月3日火曜日

「新美南吉童話集」を読む

新美南吉(1913-1943)の童話は日本国民であれば一度は読んだり聞いたりしてるはず。

新美は愛知県半田市出身。29歳という若さで亡くなり死後評価が急速に高まったために宮沢賢治と比較される昔から人気の童話作家。
だが自分はこの童話作家の全体像を何も知らない。

いつものように友人の本棚からこの1冊を借りてきた。全14編収録の「新美南吉童話集(岩波文庫 1996年版 千葉俊二編)を順番に読んでいく。

ごん狐(昭和7年) 新美の残した作品でもっともよく知られた童話。大人になって初めて読み返した。善意は伝わりにくい…という教訓を得た。

手袋を買いに(昭和18年) これも新美の代表作。人間と動物が共存する心温かいファンタジー。

赤い蝋燭(昭和11年) これは今読んでもかなり面白い。一番好き。シュール。何事にも過度に期待してはいけないという話か?

最後の胡弓弾き(昭和14年) 児童文学というより純文学。哈爾賓日日新聞で初出。
日本ではかつて旧正月に家を回ってお祝いの言葉や音楽を奏でる芸能民がいた。そんな風景。胡弓弾きの少年が老人になるまでを描いてる。日本が失ったものを切なく哀しく描いてる。

久助君の話(昭和14年) これもこどもの話だが童話でなく純文学っぽい。子供が大人になってる…って突然気づく一瞬。

(昭和14年) こちらも小学生たちが主人公だが純文学。昭和の始めごろの村の小学校の風景を描いていて興味深い。優秀なヤツは愚鈍なやつに罪をかぶせてもよい…という、現代にもそのまま通用するテーマ。以上の3作が哈爾賓日日新聞に初出。

うた時計(昭和17年) この三作からは戦争を感じる。切ない。昭和になると日露戦争に出征したおじいさんは伝説の存在。
ごんごろ鐘(昭和17年) 村の大切な鐘が戦争のために供出されるお話。国威発揚的なテーマで童話としては今のこどもたちにはふさわしくないかもしれない。
おじいさんのランプ(昭和17年) ランプから電灯へ時代が移り変わる時代。この作品も味わい深い。

牛をつないだ椿の木(昭和18年) ここに井戸があればみんなの役に立つのにと思い立った素朴な若者の話。最後はやっぱり日露戦争が出てきて切ないラスト。
百姓の足、坊さんの足(昭和18年) お米を粗末にしただけで地獄へ行くとは、今の感覚から程遠い。誤って落としてしまった米粒まで食べるようには今の子供たちには教育できない。

和太郎さんと牛(昭和18年) 明治時代の農村は筍1本おみやげに持たせれば嫁を里に返して離縁することができたんだな。
花のき村と盗人たち(昭和18年) これが一番面白い。泥棒のかしらと4人の弟子のやりとりがまるで落語。きっと映像化してみても面白い。
(昭和18年) 下駄を買いに行ってさきで聞いた迷信に悩む子供と母親のやりとり。

童話における物語性の喪失(昭和16年) 早稲田大学新聞に掲載された新美の童話論。簡潔で明快で生気があって面白いものがいい!

今回初めて新美南吉の童話にまとめて接してみた。今の子供には幕末から昭和初年の貧しかった農村風景がイメージしずらいかもしれないけど、いくつかの作品は価値を失っていないなって感じた。切なく哀しくなってもどこか明るい。今でもこどもたちに話して聞かせるべき作品がある。

2 件のコメント:

  1. 川崎鶴見U2017年1月3日 13:52

    名古屋に行けば青い瓶が美しい「南吉の里」という酒があります。南吉の生まれた半田市の「国盛」の酒造が出しています。美味しいけどちょっと高い。
    去年はYUI「ファイト」だったサッポロビール駅伝特別CM。今年は松井玲奈「はしれメロス」でした。じんわり良かった。
    自分的には、年末でぱるるが卒業して、YUIのときと同じロス状態です。今年は別の星を捜さなきゃ。

    長濱ねると藤原さくらは、なんか顔が似てる。

    今年も赤羽ブログ(「誰も聴かないクラシック」も)、期待しています。よろしく。

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  2. 実は半田市という市を知りませんでした。旅先では酒蔵をめぐることが多いので、いつか愛知方面に行ったときのために覚えておきます。

    駅伝って自分はほとんど見たことないw 今年は松井玲奈だったのか。

    「誰も聴かないクラシック」は誰も見てないと思ってたw これからはもうちょっと真面目に書こうかと。

    今年は乃木坂・欅坂記事が増えるかもしれませんw YUI記事も常に何か探してるけど、何も出てこない。

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