2016年10月26日水曜日

江戸川乱歩 「パノラマ島奇談」(昭和2年)

江戸川乱歩はもう読まなくてもいいかな?と思っていたのだが、もう1冊どうしても気になっていた作品があった。それは「パノラマ島奇談」だ。

筋肉少女帯を聴く人にもおなじみの1冊らしい。(自分は筋肉少女帯にフェスで2回ほど接したけど、楽曲はほとんど知らないし聴かない。)

先日、春陽文庫版の「パノラマ島奇談」をたまたま108円で見つけたので欲しくなって買ってしまった。それにしても春陽文庫のジャケットがいい味出すぎ。
自分が手に入れたものは1987年初版の文庫版で1994年第7刷。

パノラマ島奇談は昭和2年に「新青年」に連載された。

自分と瓜二つの、大学時代の資産家の同級生が死んだと聞いた主人公が、生き返ったと偽り成りすます。有り余る財力を使い、無人島に自身の理想郷をつくっていくという話。
江戸川乱歩だから推理小説的要素もあるのかな?と思っていたけど、怪奇幻想ホラーだった。

土葬の墓地から棺と死体を掘り出す描写が細部まで描かれていて怖い。現代では法医学者でもなければ想像しにくい。
乱歩は実際にこんな死体を掘り起こす場面を見たことがあったのか?昔の田舎ではよくあった光景だったのかもしれない。

乱歩の描く作品の主人公には一定のパターンがありそうだが、この主人公もどこかで読んだような主人公。大学を出てもぼんやりと何もしてなく貧乏だが、想像力だけはとにかく奇想天外。

パノラマ島の描写がひたすら続くのだが、読む人が100人いれば100通りに思い描くことができる理想郷。想像力の乏しい自分には限界があった。

面白かったか?読んでいてワクワクはしたのだが、それほど想像を超えてすごい作品とも思えなかった。たぶん乱歩はヘンタイすぎた。

「パノラマ島」以外に短編が4編収まっている。「白昼夢」(大正14年)は以前にも読んだのでスルー。街中のそこにある狂気のようなものを詠んだ短編。

(昭和6年 キング)は当時の読者はワクワクして読めたかもしれないが大変に古典的で時代的なミステリー。
現代では細部にリアルさが欠けている短編。昔の常識がよくわからずイメージしにくい描写もあった。犯人は病院に隠れる?よく意味がわからない。トリックがちょっと都合よすぎる。
30分ほどのドラマにはできそう。

火縄銃(昭和7年 江戸川乱歩全集11巻に発表)も古典的な短編ミステリー。
火縄銃の構造が現代人には理解できないのと、「玻璃瓶」が一体何かわからないので調べる必要がある。
だが、どんなものか理解できれば小学生向けの推理クイズドラマ。何も意外性がない。
ただ、弾丸が発射できる状態の火縄銃を自分に向けて置いておくか?という疑問を感じた。これもあまり現実的なリアリティを感じない。

接吻(大正14年 映画と探偵)はコメディショートムービーっぽい。
新婚男が定時早々に帰宅すると新妻が写真にうれしそうに接吻している場面を目撃。こっそり写真を探し出して問い詰めたら…というストーリー。
大正時代当時の人が読めば面白いかもしれないが、あらゆるパターンを知り尽くした現代人にはオチもラストも想像を超えない。

これで江戸川乱歩はしばらく本当に最後にしたい。

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