2016年2月9日火曜日

悲しみの忘れ方 Documentary of 乃木坂46 を見た。泣いた。

乃木坂に興味を持ってわずか1週間でこれを見た。アイドルグループ「乃木坂46」のメンバーたちを追いかけたドキュメンタリー映画「悲しみの忘れ方 Documentary of 乃木坂46」だ。
まだそれほど乃木坂を知らないのに、見ても楽しめるのかな?って思ってた。

だがぶっちゃけるとこの映画、自分がここ数年の間に見た中で一番泣いた映画だったと言っていい。それほど乃木坂の子たちに思い入れがない自分でも、ずーっと目から熱い液体が噴出しっぱなし。見終わって呆然としてる。乃木坂のことを何も知らない人こそが見るべきドキュメンタリーだった。

このジャケットに写ってる主要メンバーの母親からの手紙が女優・西田尚美によって朗読される。
メンバーたちが自身の故郷を歩きながら、学校の思い出やらを語る。初めて知ることがたくさんあった。

ここでクローズアップされている5人の主要メンバー悉く全員がおよそアイドルらしくない。学校と環境になじんでいない子が多い。みんな苦悩している。
「学校にはいい思い出が1mmもない」とか、とにかく暗いグレー一色。切迫と焦燥。ニュースドキュメンタリー番組の被害者の足取りを追ってるみたいだった。

生駒里奈って秋田の中学時代は吹奏楽部でドラム叩いてたんだな。その演奏シーンは貴重。
遊び場がショッピングモールって田舎あるあるだな。本屋で同級生の母親から声をかけられるシーンも貴重。訪問したかつて在籍した吹奏楽部でYUIの「Fight」合唱を聴かされるシーンもあった。
そんな生駒が「スクールカーストの底辺だった」「目立たなければイジメられることもない」って言う…。

今ではノンノモデルのスーパー美少女・西野七瀬であっても「パソコンが好きだった」「パソコン上で友だちはいました」とか語る…。入った女子バスケ部もすぐ辞めてダンス部へ。遊びに行った原宿で1日に7人からスカウトw どんだけ美少女なんだよ!お母さんも自分の娘をすごい美少女だと思ってたっぽい。

白石麻衣の華やかな風貌からは「不登校」の過去は想像できなかった。母親からは「心に壁をつくった」って見られていた。19歳になって受けたオーディションが、それほど受かりたくなかったアイドルグループのオーディションだった。デビュー当時の映像を見ると白石の作り笑いが痛い。

ドイツ・デュッセルドルフ出身の生田絵梨花は5歳で東京へ戻る。何もわからず入ったピアノスクールが超スパルタで「ピアノって存在がつらかった」と語る。

この映画の最初の涙腺崩壊ポイントがAKBイベントでの初お披露目で、乃木坂を代表して挨拶した生駒里奈の涙、そしてもらい泣きするメンバーたち。見ているこっちももらい泣き。

自分を変えたくて、親の勧めで、新設された乃木坂46のオーディションに応募し、選抜され、選抜され…、ひたすら選抜される。あれ?こっちも地獄みたいなもんじゃね?
席順が上がる、落ちる。フロントポジションにいたのに後ろに下がる、這い上がれない。そのことが本人たちを苦しめていた。カメラはそんな舞台裏まで追っている。
前から後ろに下げられたことでぼんやりとしている生田、思い詰めてステージ上で白目むいてぶっ倒れる生駒。
親たちもオーディションを受けることを勧めたことを後悔する。アイドルグループってどんだけ過酷なんだよ。

あのオーディションの結果で役が与えられるミュージカルってひどくね?スマホのアプリで投票って、「キャバクラかっ」って思ったわ。あれは相当なストレスだったと思う。あれはないわ。
わりとメンタル強くてポジティブだと思っていた松村までもが、努力が報われない虚しさ、求められない辛さを生駒ちゃんと号泣しながら言い合うシーンとか、つらすぎて見てられなかった。みんな余裕を失ってる。ちゃんと心のケアを考えてあげているのか?
自分にとって涙腺崩壊の第2ポイントが、音大受験勉強中の生田が一時復帰した明治神宮球場でのライブコンサートから「君の名は希望」が歌詞つきで流れるところ。この曲、こんなにもいい歌だったのか。
手を夜空にかざして一瞬のパウゼ、そして花火。ひょえ~、最近の花火は楽曲とシンクロもできるのかよ。たまげたわ。
この曲を聴いて、乃木坂が支持される理由がなんとなくわかったわ。
プリクラが流出したときの若月佑美、乃木坂に深刻な打撃を与えた松村沙友理がスキャンダル発覚後にメンバーの前に引き出される場面まで収録。こんなの針の筵(はりのむしろ)。やだやだ、怖い。なんでそんなことさせる?なんでそんな場面まで収録する?放心したようにひとりぼっちの松村とか、見るのつらすぎるだろ。
2014年の紅白に出場が決定的と見られていたのも松村のスキャンダルのせい(?)でなくなった。悔し涙を流す生駒の顔が怖すぎる。
あとショックだったのが、親の反対を押し切って北海道から東京の美大に進学した橋本奈々未の生活苦。虚弱体質、そして心の闇。
奨学金を学費につぎ込んで、バイトで生活費をかせぐ生活とか、華やかなアイドルの世界からは想像もできなかった。大学の思い出も辛かっただけだという。
乃木坂のオーディションを受けた理由が「芸能人になればロケ弁もらえる!」って…、哀しすぎて笑えない。生活の破綻をなんとかするために芸能界を志す。「お金がない家庭だった」って笑いながら言う…。

以前から橋本奈々未がいつも何かに脅えるような暗い表情をしているのが気になっていた。これを見て橋本が孤高な理由がわかった。ひょっとして橋本が家族の大黒柱?橋本、落ち着いたトーンで理路整然と話す。しっかりしてて大人。アイドルってよりもフツーにOLに見える。

一度でも様々な理由から大舞台を一緒に経験できないと、「ものすごい差を広げられたような感覚」だという、橋本の「辞めていく子の気持ち」解説がわかりやすくて目からうろこだった。
あと、松村のスキャンダルについての橋本のコメントが、相手男性への怒りと嫌悪に満ちていた。

西野も高校卒業を待たずして上京。キャプテン桜井もミッション系一貫教育高を辞めてまで乃木坂に賭けていたのか…。今まで何も知らないままにAKB関連アイドルってだけで避けてた。努力している人はちゃんと見つけてあげたい。
でもまあ、今の乃木坂はAKBをしのぐほどの大人気だし、自分ががんばる必要はないか…。

西武ドーム公演のリハが終わって深夜、ホテルに入る生駒のバックに映っている印象的な建物を見て、あっ!と声を上げた。これ、青梅線の羽村駅じゃん。
西武ドーム公演、出演者たちは羽村駅前のビジネスホテルに前入りしてたんだな。

最後に、2期メンバーからいきなりセンターに抜擢されて以来「落ちていく一方」だという堀未央奈が、乃木坂を辞めるか悩んだ末に髪を切って笑顔…って映像で、このドキュメンタリーは終わる。
少女たちの闘いは現在も進行中だ。

メンバーたちの証言の間にスカートがひらりとする映像とか挟まれる。画質がいいっぽいのでブルーレイのほうがより楽しめるかもしれない。

この映画を見たことで、自分はもう乃木坂を見かけるだけで涙ぐむようになってる。「君の名は希望」はふと口ずさんでしまうだけで、じわっと涙があふれる魔力を持ってる。この映画は自分にとってYUIのロキノン「2万字インタビュー」に相当する。
乃木坂に興味がない人が見てもいろいろと驚くと思う。誰もがこの少女たちに感情移入できる。泣ける。強くオススメする。

「乃木坂」、その名前は「希望」だと今知った。

自分は今までAKB関連大人数アイドルを完全無視してきたのだが、今年からは擁護派に回る。たぶん自分は明日から乃木坂46ファン。

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