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2015年10月17日土曜日

是枝裕和 「空気人形」(2009)

ついに重い腰をあげてこれを見てみた。是枝監督・脚本・編集の代表作「空気人形」(2009)。

まさみは「是枝監督の映画に出るのが夢だった」と語るからには、この映画も見ているに違いない。

自分は何もこの映画に予備知識が無いまま見た。原作があるようだけどまったく知らない。おそらくジャケットから判断するに「空気人形」とは性的な目的のために作られた人形だ。

「海街」のメーキングで是枝監督が「室内の撮影は窮屈に撮れとリー・ピンビンに教えられた」と言っていた。なるほど、室内でのカメラワークはこうあるべきという哲学を感じた。カメラの側がじわじわと動いて撮ってる。李屏賓という一流カメラマンの技を感じられる作品になってた。

再開発から取り残されたような木造トタン屋根アパートや町工場と駐車場がモザイクをなす街が舞台。とにかく人と人の関係が希薄。東京のリアルな質感を感じる。

ご近所にあいさつして回る三面記事事件に執着するちょっと頭のおかしいおばあさんが富司純子。その相手をする駐在さん寺島進が「すごく悪い警官が出てくるDVD」を借りる。

人形であるヒロインがバイトをはじめるビデオ店の店員ARATAと岩松了店長。店に来る暗い浪人生?柄本佑。人形を持った女の子とその父親、余の若くない受付嬢、公園の老人、この人々とヒロインはそれほど関わらないし関係を掘り下げない。だが、それぞれにスポットを当てて最後に一点に収束しまとめていく。これが是枝監督の個性か?

「ワタシは心を持ってしまいました」

人形が服を着て街を歩く。履歴書もないのにバイトする。化粧品を手に入れる。「ま、そんな人もいるか」と誰も疑問に思わないのが東京という街か。
岩松「映画見たことないの?最近の若い子は…」、そんな子をバイトに雇うとか無理だろ。人形やロボットを周囲が疑問もなく受容していく藤子不二雄的なファンタジー世界?

脚本も編集も独特。余貴美子の電話の相手が判明するまでの時間差!ああ、そうなのか!って気づくまでの放置が長い。
人形ペ・ドゥナがあがりこんだ老人宅。「さわってくれないか?」「そこじゃない!」w

ゴミ部屋でピザをむさぼり食って、1リットルペットボトルでコーラ飲んで死んだような表情なのに小ぎれいな星野真里が、どうヒロインと関わるのかまったくわからず見ていたのだが、最後にそう来たか!なるほど、「ある視点部門」な映画だわ。なんか、予想していた以上に変で面白い映画だった。映画芸術を感じた。

人形が昼間勝手に服を着て出かけていることを知らない板尾、映画開始から1時間17分、別の新しい人形との夜の生活の場面で、心を持った人形ペ・ドゥナと初対面!「その人の代用品なのね」「ワタシでなくてもいいんでしょ」w こういうのも修羅場っていうのか?

板尾の家を出てARATAの家へ。ARATAはどんな欲望を?と思ってたら「空気を吹き込みたい」、なんだこれ?R-15というレイティングにちょっと疑問を持ちながら見ていたのだが、なるほど、最後はちょっとショッキングかも。

この映画、空気人形という誰もやったことのない役を演じたペ・ドゥナが素晴らしすぎた。
ビニール製人形が生身の人間であるペ・ドゥナに変身していくシーンが見事だったと思う。それに、主演女優の魅力を世界にアピールできるような作品になっていた。

おれのまさみもこんな変で魅力的な映画に出てほしい。

2 件のコメント:

  1. ペ・ドゥナみたいにサブカルっぽい日本映画で評判になったアジア系の女優ってあまり記憶にない。可愛いけど中性的で、ほわーんとしつつも実は賢そう。文化系の心をくすぐる要素満載の女優さんだと思います。

    この映画はだいぶ前に観たので、細部は忘れてしまっているけど都会を浮遊している感じのペ・ドゥナが印象的でした。体がとてもキレイだった記憶がある。

    長澤まさみがこんな感じの映画に出たら驚きですね。
    正直もっと東宝以外の映画にも出てくれないかなって思います。
    まあそれはなかなか難しいんですかね。
    東宝が主導して作ったと思われるあんまり有名じゃない監督の作品はだいたい面白くないんだよな…。

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  2. そういえば街を歩いているときに浮遊感があった!
    この映画にはさすが是枝カントクというアイデアで満ち溢れていた。

    まさみは近年の「モテキ」「WOOD JOB」も面白かったけど、主演のヒロインという感じはしなかった。「世界の中心で」は最優秀助演女優賞だったので、次は主演女優賞を…って期待してるけど、なかなかそんな作品にはめぐり合えないなあ。

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