2015年3月15日日曜日

臼田あさ美 「桜並木の満開の下に」(2012)

この映画はぜんぜん見たくなかったけど見た。臼田あさ美が主演だから。

地方の小さな町工場で働く男女、そして作業中の事故、業務上過失致死……。こんな暗い悲しい話は毎日のように新聞の片隅に小さく載ってる。なにもわざわざ時間かけて映画で見るまでもない。かなりの覚悟を決めて見始める。この映画はオフィス北野の製作なのか。何の話題にもなってない映画。120分と長いし気が重い。

「東京プレイボーイクラブ」(2011)では臼田を拳銃で撃つヤクザだった三浦貴大、こんどは臼田の夫をクレーン操作の過失で殺す。あとは、目を覆いたくなるような見たくないシーンの連続。怒りの矛先をどこに向けていいのか分からない人たち。重苦しくて見てられない。

予想してはいたけどすごく嫌~なギスギスした雰囲気の作業員たちの町工場。あのろくに働かないで嫌味だけ言う若い乱暴な男をなぜとっとと辞めさせない?金属部品で殴りつけるとか即死しかねない。傷害どころか殺人未遂。警察呼べ。

被害者と加害者(過失)だけど、裁判で親会社の責任が明確になった以上、同じ職場で顔を合わせないといけない二人。加害者の男はその職場でただ1人しかできない技能をもっていて辞めさせるわけにもいかない……とかすごくリアルな中小町工場密室地獄。

真面目にやってきた孫請け工場だけが取引がなくなり詰め腹。酷すぎる話。中小企業の社長はつらい。内容が内容だけに誰も魅力的じゃないという…。従業員の中では中国人技能実習生だけがまともな人格持ってる。真面目な外国の若者たちをこんなひどい現場で働かせる制度なんてやめてあげて。

この国ではかつて日清戦争の戦死者と同じ数の人々が毎年交通事故で亡くなっていった。努力と工夫によって5000人以下まで少しずつ減らしてきた。誰もが業務中の事故の被害者にも加害者にもなりうる状況をなくしていくように社会全体で努力していくしかない。命をも奪うブラックな労働環境しか提供できない経営者は退場してもらうしかない。

加害者と被害者がいて「赦し」がテーマ。この映画に出てくる人はみんな不幸。こんな暗い映画を誰がお金払って見るのか?DVDでも誰が見るのか?誰も見ないで役者と製作スタッフの給与はどこから出るのか?
画質がクオリティ高くていい感じだけどテーマだけが暗くて嫌。臼田あさ美がずっとうつろな表情してるか泣いてる。もっと明るく魅力的な役をやってもらいたい。多少は救いのある映画だけど、休日を台無しにしてくれる人間ドラマ。けど、臼田あさ美が好きなら見ないといけないだろうなあ。

0 件のコメント:

コメントを投稿