2014年2月4日火曜日

司馬遼太郎 「新史太閤記」を読んだ

国民的作家司馬遼太郎の「新史 太閤記」(新潮文庫)を読み終わった。上巻だけ先に手に入れて読んだのだが、下巻となかなか出会えなくて間隔が空いた。その間に「関が原」を読み始めてしまった。後に下巻を見つけて読み始める。さすが司馬遼太郎の書く本は面白い。わかりやすい。話が脱線しているようでも大事な箇所は何度も念を押す。

自分はほんの2年ぐらい前までまったく戦国時代と戦国武将に疎かった。基本的なことを何も知らなかった。おそらくこれを読めば戦国時代のキーマンのほとんどが登場するという期待があった。江戸幕府の藩主たちの祖はみんなこの時代に活躍している。

この「太閤記」 における少年時代の秀吉はおそらく司馬の創作だと思われる。司馬は「心の声」を多用してわかりやすく解説してくれる。司馬独特のエロ表現にも慣れた。何も日本史知識のなかった自分に日本史を教えてくれた先生だ。

秀吉って頭が良くてかつ織田信長に気に入られたから出世したんでしょ?って思っていたけど、この本の上巻を読むと、両者にはかなり緊張感があったことがわかった。最下級の家臣が出来過ぎたマネをすると信長にめっちゃ怒られる。

上巻では織田が美濃、近江を奪い、播州平定まで描かれる。荒木村重の謀反により幽閉、窮地に陥った黒田官兵衛と、秀吉、信長、竹中半兵衛のドラマチックな箇所で終わる。自分は荒木も黒田も竹中もほんの2ヶ月ぐらい前に初めて名前を知った人物だ。

司馬は若い頃の秀吉の容姿がとても醜かったことを強調している。人に嫌われないように若い秀吉は考える。後の人たらし秀吉の性格はこうしてつくられたと。

下巻は備中高松城攻めから本能寺、山崎の合戦、柴田勝家との争い、小牧長久手の合戦後の徳川家康上洛までを、各プレーヤーの心理を詳しく解説したところで突然終了。晩年の暗い秀吉を描かずに、若々しいヒーロー秀吉だけを描いて本は終わる。

わかったようでわからない。九州征伐も小田原も伊達も出てこない。秀吉の重要なトピックを前半だけしか抑えていない。だが、秀吉政権の危弱性は終盤を読んでるとわかってくる。

2 件のコメント:

  1. 川崎鶴見U2014年2月4日 22:24

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    『ドリフターズ』、『ノブナガン』、『ノブナガ ザ フール』。
    最近コミックもアニメも信長ブームです。日本最強の偉人キャラ(バトル系)だそうだ。
    しかし、信長といえば日本歴史上、もっとも人を殺した男。坊主、女、子供、赤ん坊に至るまで皆殺し。唯一の血縁のお市以外に兄弟姉妹の腹違いが30人はいたらしいけど、お市以外は皆殺し。自分が実権を握るまでには織田の同族も宗家も皆滅ぼした。本能寺で殺されなきゃ日本人半分になっていたかも。
    秀吉は・・・昭和中期までは信長より人気あったはず。努力と交渉とアイデアの人。RPGの主人公的存在。でもいまはあんまり・・・。老害起こすまでは、残虐じゃなかったし、営業本部長どまりで、社長になっちゃいけない人だったんでしょう。

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    なんで信長が人気あるのかよくわからない。秀吉や優秀な家臣のおかげで美濃も近江も取れた。
    秀吉はなるべく命を奪わない方針だったみたい。統一が完成すると黒田官兵衛もお払い箱。酷い晩年さえなければ不動の人気だったと思う。

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