2007年刊、宮崎あおい(妹)宮崎将(兄)がデンマークとグリーンランドを訪問した旅行記でありながら、一筋縄でいかないエコと地球温暖化問題を啓蒙する「たりないピース2」(2007 小学館)も105円でたまたま出合ったので読んでみた。
「祈り」よりもこちらを先に買った。なかなか読み応えがあって考えさせられる1冊だった。小中高の教室に1冊は置いてもいい本だと感じた。
エコ先進国で国民幸福度世界第1位のデンマークに学べ……と宮崎兄妹がデンマークを行く。
九州ほどの面積に大阪府よりも少ない543万人が暮らす、医療と教育が無償の洋上風力発電先進国
今回デンマークについて驚くべきことを多く学んだ。デンマークって最低賃金(時給)が2000円!宮崎兄妹が滞在した家庭の女子高生は時給2600円のバイトをしていた!
読んでるとデンマーク万歳!って言いたくなるけど、社会システムすべてを日本に持ってくることはできない……って友人はいう。社会資本の蓄積がある北欧の国と違って、地震と自然災害が多く自転車操業の日本とでは違いが多すぎるとのこと。
デンマーク人は全員エコ意識が高い…って思われがちかもしれないが、エコになにも関心ない人ももちろんいるそうだ。
そして、グリーンランドについて多くのことを学んだ。その歴史上、アイスランド、ノルウェーからの移民が全滅したこともある厳しすぎる極北の気候。
日本の6倍の面積があり、人口56,000人。現地の暮らしはデンマーク本国からの輸送に頼っているのだが、きゅうり1本600円もするように生鮮食料品が貴重。
30年前までアザラシの毛皮で暮らしていたグリーンランドのイヌイットも今ではスキーウェアが主流。冬になれば1日中真っ暗な日が続く。この地で暮らす人々の顔つきが独特だと思った。歯がない人が多いなと感じた。要職はデンマーク本国人に頼っていること。自殺率が1000人に1人と異常に高いことなども学んだ。
地球温暖化について、早くから研究者に注目されていたグリーンランドのイルリサット・アイスフィヨルドの氷河後退がIPCC予測より30年早かったこと、雪氷面積が減ることで太陽光を吸収するポジティブフィードバックの問題…についても学んだ。昔に較べて氷が薄くなってアザラシ猟をするのが危険になった。
だが、現地で暮らす人々は意外にも温暖化について危機感を持っていないということも学んだ。なるほど、そういうものか。
宮崎兄妹が現地でたまたま取材に来ていたBBC番組制作スタッフから聞いたという話が深くて考えさせられた。人類にこの先も地球で生き抜いていく知恵はあるのだろうか。
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時給2600円!凄いですね…。私、高校時代に北戸田の餅工場で人生初のアルバイトをしたことがあるのですが、時給1020円(繁忙期)でした。
自動車を運転している身からいえば、自転車と下手に並走する区間があると恐いです。
北欧並みに、自転車専用道を整備すれば日本でも安心して自転車を気にせずに走れるのかなと思ったりします…ロードバイクで事故ったことがあったので。
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今年になってBSでグリーンランドの最北シオラパルクまでの映像を見たのを思い出しました。いくら解説で氷点下マイナス30℃とか言われても想像できない。それでも私も数年,,本州最北端に居たから、夜中まで酒飲んでアパートに戻るとドアが凍り付いて入れないときが何回かあった。そういうときは缶コーヒーを鍵穴にぶっ掛ける。アイスランドじゃ1本じゃ無理だろうなあ。しかし人間住もうと思ったらどこでも生きていけるんですね。
バラードのSF「沈んだ世界」のように地球が熱帯化して水没状態になったら、アラスカやシベリアやグリーンランドあたりは過ごしやすい気候になるのでしょうか。
あと地球儀で見るとグリーンランドは地図でみるほど大きくないですね。
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北極圏の数ヶ月太陽が昇らないことが人間のメンタルにあたえる影響が不安。
グリーンランドの氷は陸地にあるので溶けると海面上昇に直結。
東京の夏の暑さは異常。これから先は札幌あたりが住みやすいかなあ。
グリーンランド(デンマーク)とカナダの間には国境の島の帰属をめぐる紛争があるそうです。