市川哲史 という名前を聞いてすぐに「あのやたらと面白い評論を書く人か?!」ってわかった人は相当に音楽雑誌を読み込んでいる人か、もしくは30代後半以上の洋楽を聴いていた音楽ファンじゃないかと思う。市川哲史は80年代からロッキングオン、90年代には音楽と人、2000年代にオリコンと渡り歩いたベテランの音楽ライターだ。その特異な表現で各方面で波紋を呼んでいる。この人はかつてオリコン時代にYUIを数回インタビューしている。以前にもこのブログでその記事を一部紹介したが、
「世界一美しいかさぶたシンガー」これらはすべて市川哲史がYUIを表現した言葉だ。この人はこういった「やらんでもいい問題表現」でアーティストとそのファンたちと軋轢を生んでいる。この人のインタビューを読むとYUIが必要以上に「天然」な印象を受けるかもしれない。が、様々なアーティストにインタビューしてきたベテランライターの視点を紹介してみたい。が、自分はそもそもこういった音楽評論自体にそれほどの価値も見出せないことも告白する。
「面白い生き物」
「近来稀に見る変わり者」
「真摯すぎて死んじゃうんじゃないかと思った。」
とりあえず〈女性シンガーソングライターの第一人者〉というのが、YUIの枕詞だ。でも私には、どうも居心地の悪いフレーズだったりする。そうじゃないのである、彼女は。ええぇっ?!市川は博多の路上でYUIを見ていたのか!それはさておき、「唄いたい言葉はないのだから歌詞なしで歌ってほしい」という結論には多くのYUIファンが不愉快になったかもしれない。「迷惑な女」も言いすぎ。このライターが多くの敵を作ってきたことがよくわかる。音楽ライターが書く典型的な中身のない文章かもしれない。物書きは過激なことを言って文を売る。
まだデビュー前、福岡市天神で路上ライブを観て以来、何度かインタビューをして想ったのは、「もしかしてYUIには、言葉は必要ないのではないか?」ということ。うまく言葉で表現できないから音楽で主張する、的なパターンの奴は過去にもたくさんいる。しかし彼女からは、言葉に不得意である以上に、言葉というツールそのものを信用していない気配が漂っていた。彼女の話は常に〈点〉で、〈線〉として繋がることはついぞなかったのを想い出す。
だからなのか、私にはYUIの歌詞はオマケ程度にしか聴こえない。語弊はあるがおそらく彼女自身にとっても、歌詞はさほど重要ではない気がするのだ。凡百の流行歌に較べれば勿論、精度の高さは保証できる。けれどもYUIには、〈唄いたいメロディー〉はあっても〈唄いたい言葉〉はない。あの声でストイックな感情表現ができれば、それでいいのである。
1stアルバムでシンガーソングライタースタイルでの成功が約束されたころ、彼女は「エレキ買ったんですよ!」と珍しく興奮していた。そしてその直後から、ロックなバンドサウンド・スタイルへと、未練なく転身してしまう。クールな感情表現に変わりはなかったが、明らかに水を得た魚のまま現在に至っているのだ。
YUIはシンガーソングライターでも吟遊詩人でもない。飄々とギターを鳴らしながら、ロックなさサウンドに身を委ねつつ、内的なカンシャクを〈声〉で伝える迷惑な女なのだ。しかし言葉などの余分なフィルターを通らない分、その純度は驚くほど高い。いっそのこと、歌詞をニセモノ英語か鼻歌にしてくれればいいのになぁ。
だが、自分はこれを読んでも何も腹が立つことはなかった。なにか言おうと思って書き始めたが、特に言いたいこともない。
この人はロッキングオン時代に山崎洋一郎と同僚だったそうだ。山崎編集長のYUI評も以前紹介した。「そのまっすぐなアプローチは、『歌うべきものなどない』時代に『歌うべき気持ち』があることを示してくれる。」 というものだった。この2人はともに洋楽を聴いてきた人だ。YUIのすばらしいソングライティングの才能を認めている。そう、言葉は重要じゃない。歌詞を理解しないアジアのファンもYUIを聴いて感動している。
「エレキ買ったんですよ!」と興奮しながら報告するYUIは興味深い証言。
市川によるYUIへのインタビューはオリコンのウェブページで読むことができる。
参考 ttp://www.oricon.co.jp/music/interview/050615_05a.html
参考 ttp://www.oricon.co.jp/music/interview/060222_03_02.html
「福岡にいたら、声かけられるようになりました。ラジオの公開収録の日、本番まで1時間空いていたので駄菓子屋に行ってボール買って、会場のすぐ目の前でキャッチボールしてたら『YUIさんですか?』って。何でわかったんだろ、って不思議で」
当たり前なんじゃないか、それ。
ツッこみ方がいい。他のライターだとこうはいかない。やはりこの人の文章は面白い。
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ニセモノ英語か鼻歌って…
YUI語ですね。
YUI語だけでも十分ですね…
それオンリーのライブとか聴いてみたいです(笑)
ただ、素晴らしいメロディーに素晴らしい歌詞がのってしまえば、もう最強ですよね…
前の記事であったように
ライブハウスでのライブを観に行ったときのアンケートで、自分はデビューしてるから、頑張ろう。頑張れ。って書こうか迷うってとこが可愛すぎますね…
私もライブハウスというもの初めて経験したので、観てるだけで、ノリ方やMCが勉強になると言ってたYUIさんの気持ちがやっとわかるようになりました。
windingroadでも弾こうかな…
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わたしは、この人の記事すごく好きでした
話の切り口が、常軌を逸してると読んで
て鳥肌が立っていました。。。またそれが
快感なのです。
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そりゃ“公開収録”の日なら尚更バレるっしょ!?と自分も想わず突っ込んでしまいました(笑)
ライターをあまり意識したことはありませんでしたが、この方何か良いですね~
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ある種の人々にはYUI様の良さを説明するのが難しい。
「歌、下手だよね」「あんな顔しないと声出ないのかね」
歌唱力至上主義の人には特にアピールしにくい。
実は私も歌唱力にはうるさいけど、彼女だけは気になったことがない。
私のイメージの彼女は「歌手」とか「歌い手」とかの言葉で表現できる存在ではないから。
存在自体が一丸となって降り注ぐ・・・「伝道者」「巫女様」みたいな感じです。(これじゃ、まったく信者だね)
だから言葉も必要条件。鼻歌では足らない。歌詞の純度が濃ければ濃いほど感動もする。
市川氏も彼の方法でYUIの「気持ち」を聴いている人なのかもしれませんね。
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>>川崎鶴見(仮)
そうなんですよね、歌唱力、正直高いとは言い難いですよね・・・Mステなんかはいつもヒヤヒヤして見てましたし(笑)
それでも他のアーティストさんとは全く違う何かを感じます。自分はLIFEで彼女に出会い、feel my soulでありえないくらいの衝撃を受け、タイヨウのうたで完全にファンとなるみたいな・・・・まあありがちではあるとは思いますが。歳は少しYUIさんの方が上ですが自分の娘のような存在に感じちゃうんですよね(笑)いつまでも応援していきたいですね
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Mステ出演は毎回ちょっとした祭りみたいなものだった。どうかいつも通りに唄ってくれと。マイジェネの歌詞間違えたときはすっごく焦った。
この国の音楽ファンの趣味は本当に多様。ちゃんとYUIの声と音楽性のすばらしさに気づいてる人が「活動休止」後にこれほどまでたくさんいるって改めて知った。
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僕も今載っている上から数えて6番目までの意見とほぼ同じです。声を聴いて、「戦っている。」と歌った時、実際に色んな事と戦ってきたんだろうなあと感じさせる声というか。歌詞と声がきちんと沿っているというか。
確かにMステの時はいつも冷や冷やしましたが、歌唱力が高くない事は決してないと思いますよ。YUI RADIOで披露した「Rolling star」のアコースティックバージョンや去年の冬のSchool of Lockで披露した「TOKYO」を聴いて欲しいです。調子の波が激しいとは思いますが。
「世界一美しいかさぶたシンガー」
「面白い生き物」
「近来稀に見る変わり者」
「真摯すぎて死んじゃうんじゃないかと思った。」
これは完全なる褒め言葉でしょう。大勢の中に埋没していないという事でしょうからね。なぜ、僕がYUIさんのファンなのか、その理由こそ、まさにこれなんです。ミュージシャンにとって何が重要かは、オリジナリティーがある事で、作者にオリジナリティーがあるからこそ、オリジナリティーのある曲が作れると思うのです。
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いつも読ませて頂いてます。
といってもYUさんIの記事だけですが・・・(笑)
赤羽さんの書き方はスイスイ読めてわかりやすいので好きです。
今後もよろしくお願いします。
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>>歌詞をニセモノ英語か鼻歌にしてくれればいいのになぁ。
明らかにYUI語のことですよね。
YUI語と言っても分からない読者を意識してこういう表現にしている。
��rdツアーでのマイジェネYUI語Ver.は実にいきいきとして、とても素晴らしかったです。
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こんにちは。
市川さん、大好きなんです!笑
またインタビューしていただきたいです。