2013年3月2日土曜日

ありがた山の消滅

ありがた山という名前を知っている人はおそらく東京都稲城市の京王線沿線住民か、都内の里山ハイカーだけだと思う。
京王線の下り電車、よみうりランドを過ぎた辺りの左側に見えるこの山の上にはかつてハイキングコースがあったのだが、これが数年前から存続の危機を迎えているのはなんとなく知っていた。

自分がブログを始める以前の2007年の2月ごろ、物好きなT君といっしょに、よせばいいのにこの場所を探検したことがある。6年ぶりに再びいっしょに出かけてみた。ありがた山は今どうなっているのか?ルポルタージュを書くために。

下の写真が2007年2月ごろのありがた山。
稲城市の川崎市麻生区側の一帯は手付かずのまま放置された荒地。われわれはこの、戦隊ヒーローが出てきそうな崖に当時迷い込んでしまった。草ぼうぼうのまま放置して冬枯れの原野。とても歩けたものじゃない。6年経ってさらに樹海のようになっていてこれ以上は進めない。写真を撮って退散するが、崖の形が変わっている。

なんとなく崖の上のほうで重機が動いて人が作業しているような気配。
ありがた山は昭和15年から18年ごろに、都心の無縁仏をこの山の斜面に集めたことで知られている。はっきりいって夕暮れ時はひとりで来ちゃいけない不気味な場所。どば~っとこれ全部無縁仏の墓石。墓碑銘を見ると「嘉永」とか「弘化」「慶応」などの文字が見える。「海軍少将」といった名前も見える。人間は死ぬとこんな石になり、やがて無縁仏になり都心にもいられなくなって郊外の山で誰の目にも触れずにひっそりとたたずむ。
さて、ハイキング開始……と思いきや、鉄柵、チェーンロック、そして警告文。
これより先立ち入り禁止。
は?聞いてない。こっちは電車賃払って遠くからハイキングに来てるんだよ!
じゃ、その辺からなんとなく乱入しようかとも思ったが…
「防犯カメラ作動中 関係者以外立ち入り禁止 進入した場合、警察に通報します。」

まあ、全国的に里山は保全派と開発推進派との争いがこじれてしまったあげくにこうなるわけだ。
稲城市、警視庁多摩中央署、南山東部土地区画整理組合 によるという強~い口調の警告文。「……。」
我々の里山ハイキングコースがひとつ失われた。
6年前に山頂へ行ったときには、こういう仏塔がそこにあった。どうやら今は解体されどこかへ移転したようだ。
以前来たときにはそばに民家が1軒建っていてびっくりした。崖へつづく道は「ここから先へ侵入禁止」とか書いてあった。ま、物好きしか行かないハイキングコースではあったが。

この日は稲城駅方面まで歩いていける道があるのかどうか確かめに来たのだが、もう道がないならしかたがない。
しょうがないので反対側の道を下る。前回も今回も墓地経由で来たので、ありがた山にこんな登山道があったとは知らなかった。
その後は京王よみうりランド駅にもどり、穴澤天神から小沢城址へ。多摩自然遊歩道を歩き、薬師堂へ参拝し、稲田堤駅まで歩いた。

この小沢城址は攻め入る新田義貞に対する鎌倉幕府の防御ラインだった。山城の空濠の跡などを見ながら歩ける手軽なハイキングコース。

両側すぐまで住宅地が迫る尾根歩き。稲城側がまったく整備されていないひどい荒れようだったのに対し、川崎側はきれいに整備されていた。

3 件のコメント:

  1. 川崎鶴見(仮)2013年3月2日 20:37

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    ちゃんとWikipediaに載っていた!
    ��通称「南山」って・・・ありがた山の方が通称じゃないんだ!)
    「東京心霊ポイント」にもありがた山石塔群としてリストアップされていた!
    「辺りには呪詛かまじないに使ったような梵字のお札がいっぱい
    恐怖感は並々ならぬものがあるので覚悟していってください。」云々。
    宅地開発で山自体が崩壊の危機・・・って、
    結局、無縁仏の周囲も全部人間様の住処になってしまうんですね。
    心霊よりも人間の方が怖い?

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    行ってみると、心霊ポイントって感じはそんなにしません。そんな感じを覚えちゃうのは、まわりの雰囲気かもしれません。荒れ放題の山、ダンプだらけの道・・・。
    里山の保全派、開発推進派のどちらかが流した噂なのかもしれませんね。

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    夏のゆうぐれだと怖さ倍増だと思う。いつまであるかわからない。

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