2013年2月16日土曜日

剣岳 点の記 (2009)

新田次郎の原作を読んでから木村大作監督の「剣岳」を見た。

当たり前だけど、原作をそのまま映画にはできないので、多くのエピソードは省略されたりする。
また、松田龍平演じる生田信がちょっと嫌な部分のある未熟な人間として描かれている。原作にはあまり描かれなかった人夫たちが日当にこだわる箇所とか、長次郎の息子の手紙とかのエピソードも追加。帝国陸軍の現場の苦労への無関心さは伝統。原作以上に陸軍上層部がわかりやすく酷く描かれていた。

今のように通信が発達していなかった時代、コミュニケーション力がものをいう。新田次郎の小説を読んでいると、表情と言葉尻からありとあらゆることを読み取る心理バトルに驚く。現代の我々とは異なる能力を持っている。そこを映画にするのは難しい。

新田次郎の冬山遭難の描写を読んでいると、自分も冬山をさ迷い歩いている感覚が1日抜けないが、映像で「寒さ」を伝えるのも難しい。
しかし、活字で読んでいても一体どんな山なのか、雪渓なのか、崖なのか、尾根なのかなんとなく想像するしかない風景が美しい映像として目の前に広がってくるのはありがたい。

出番は少ないが明治女を演じた宮崎あおいが可愛い。長次郎妻を演じた鈴木砂羽(まさみと仲良し大酒のみ女優)も出番は少ないが印象に残った。
何よりも雪山で撮影に挑んだ役者とスタッフの苦労がどれほどだったのかと感嘆せずにいられない。自分は春秋の1000mほどの山でも荷物を持って歩きたくない。

3 件のコメント:

  1. 川崎鶴見(仮)2013年2月16日 23:09

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    「日本百名山」「大人の山歩き」・・・etc。
    最近はテレビでも山岳ガイドつきでお手軽に山登りをヴァーチャルで楽しめる番組が
    あって、私も毎週、視覚で山登りをしています。
    「日本百名山・剣岳」の回ではガイドの多賀谷さんが「剣岳 点の記」の山岳監督を務めた人。
    マッキンリーにも登ったという飄々としつつ、風格のある人でした。
    さすがに、ちょっと他の回より迫力ありました。
    いつも感心するのは断崖絶壁や雪渓を上るなどの過酷な場面でも必ず、その上から撮影しているスタッフがいるということです。

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    標高の高い山を登ったことがないとです…。
    しかし、峠道を自分の脚とロードバイクで走ったことならあります。
    泳ぎはないので、トライアスロンではないです。
    学生時代に陸上部だったのと、故忌野清志郎さんの「サイクリング・ブルース」に憧れ、
    そんなことをしていました。
    乗り越えた時の達成感素晴らしいとです!
    あなたが好きなあの女性歌手もそんなこと、してませんでしたか?

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    >川崎鶴見(仮) さん
    自分、里山専門。今までのキツかったMAXは谷川岳
    >らんまる さん
    それは陣馬山

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