三鷹といえば本田翼

太宰の墓がある禅林寺から連雀通りを西に進む。連雀という名は「明暦の大火」後、４代将軍家綱の時代に江戸・神田連雀町の町民がこの地へ開墾移住したことによる。古い農家の家や無人農産物販売所までもが道路脇に存在する。

この日の三鷹散歩の最終目的は本田翼の地元を歩いてみることだった。本田翼は高校を卒業するまで三鷹で家族と住んでいた。今では三鷹といったら本田翼なのだ。

禅林寺から30分ちかく歩いただろうか。ここは井口小学校。どうやらここが本田翼が通っていた小学校らしい。周囲は生産緑地やビニールハウスのある畑が多い。創立40周年というからまさに第2次ベビーブームを見越して新設された小学校だろう。70年代に住民が増える以前は田畑がひろがっていたと思われる。

そしてここが三鷹市立第二中学校。本田翼が通った中学校だ。ここの生徒だった頃にモデルの仕事を始めた。

小学校から中学校まで歩いてみると、だいたい街の雰囲気がわかる。生産緑地とビニールハウスと一戸建て住宅が立ち並んだ地区。三鷹を南北に走るけやき通りには中低層マンション。街のイメージがつかめてきた。やたらと「不審者に注意」の看板がある。不審に見えないように注意しないといけない……。

小学校と中学校がわかると、学区というやつを重ね合わせることで住んでいた場所がだいたい絞られる。井口小と第二中に通うとなると井口1丁目、3～5丁目、そして深大寺1～3丁目に住んでいる子どもということになる。つまりこのエリアに本田翼の実家がある。

自分の目的は実家をつきとめることではない。少女本田翼の生活がどのようなものであったのかをイメージすることだ。

これはSEVENTEENのモデルをしていた13歳のころ。全校一番の、地域一番の美少女だったに違いない。

マンガやCDはどこで買っていたのだろうか？TSUTAYAとブックオフが近くにあることもわかった。自転車で武蔵境駅方面へ行っていた可能性もある。新宿の高校までどうやって通っていたのだろうか？蓮雀通りか都道123号線から小田急バスに乗り三鷹駅から満員の中央線通勤電車で都心に向かっていたのではないか。このような住環境だと家でマンガ読むかゲームするかしかない少女ではなかったか。中学生になればオシャレな服を買いに吉祥寺へ出ることもあっただろう。家族で車で出かけたかもしれない。吉祥寺ならスカウトもいるだろうが、三鷹にはいないだろう。

などというような想像をめぐらせる三鷹散歩（フィールドワーク）だった。吉祥寺や調布まで1本で行けるバスがあることもわかった。

新宿の高校を選んだのには仕事がしやすくなることも見越してだったのだろうか？本田翼ブレイクのきっかけとなったバラエティ番組でよく行く街は「吉祥寺とか新宿」って言ってたけどそれは地元と通学先じゃん。

高校は普通科を選んだ少女翼。だが、高校時代にはモデル業がイッキに花開く。

JILLEで看板モデルになったし、高２でノンノ専属になるのはモデルとしてエリート中のエリート。あっという間に垢抜けた。

高校時代はモデルとは別にカフェでバイトもしたことがあるという。注文を取りにきた店員がJKモデル本田翼って、それすごい。

「モデル一本でやっていける自信がなかった」らしく、受験勉強をしていたことが公式ブログ上でもわかる。だが、どうやら希望校へ進学できず大学生活は諦めたと雑誌で告白しているようだ。少女にとって挫折だったが、もっと大きなものを手にしようとしている。その決断に納得している様子。2段ロケットに火がついた。さあ、女優として加速していけ！