2013年2月4日月曜日

新田次郎 「剣岳 点の記」

この本も105円で手に入れた。とてもキレイな本だったので読んであげないともったいないと思った。新田次郎「剣岳 点の記」(文春文庫新装版)。これ映画化されてるけどまだ観てない。

新田次郎も尊敬する作家の一人。主に山岳小説で自分に多くのことを教えてくれた。短編小説が好きで長編はそれほど読んでいない。これは厚さが手ごろなのでチャレンジしてみた。

明治40年の柴崎測量隊による日本地図最期の空白地帯の観測と剣岳初登頂について、新田次郎の一部推測イメージもふくんだ小説。剣岳山頂には4等三角点しか設置できず測量部公式記録に載らなかった。執筆に当たっての調査がすごい。新田次郎は64歳で剣岳に登って取材している。

測量についてかなり詳しく記述されているものの自分にはよくわからなかった。ただ、明治期に命がけで測量した人々の苦労がしのばれる。今のようなフリースやら高機能素材やらない時代。食事をするにも薪を集める必要がある。靴も雨具もゴアテックスじゃない。テントも雨漏り。寒かっただろう。この小説では誰も死なないで済んだ。よかったよかった。

柴崎の仕事を助ける長次郎という山を知り尽くした人がすごい。そして、修験者がミステリアス。

柴崎芳太郎という人は生前を知る人によると初登頂のことはあまり話さなかったという。しかし、富山県庁の傲慢な役人に相当腹が立っていたらしい。山では助け合いが必要なのに立山温泉で部屋を分け与えてくれなかった土木課のエラい尊大な男が読んでてムカムカする。気象庁で働いていた新田次郎も経験したことなんだろう。
区の公務員とか変わった人が多いことは自分にも想い当たる。もちろんちゃんとした真面目な人もいることはいるが、ちゃんとすらしてない人が目に余る。

宮崎あおいも出演している映画が見たくなった。剣岳もいつか登りたい……が、ムリだな。

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