小学生のころから太平洋戦争の悲惨さは繰りかえし教えられてきたけど、太平洋戦争っていっても広範すぎて何処でどんな作戦と戦闘が行われて、それぞれがどんな結果に終わったのかについては自分はほとんど知らないまま現在まで過ごしてしまった。
中公文庫から出ている 失敗の本質 日本軍の組織論的研究 という組織論の専門家たちによる本がたまたまそこにあって手ごろだったので読んでみた。
この本では各戦闘において多くの若者の命が失われていった悲惨さには一切触れない。帝国陸海軍が大敗を喫した6つの戦いにおける「損失」と「成果」が数量で示される。何が失敗だったのかを明らかにする。
ノモンハン事件、ミッドウェー作戦、ガダルカナル作戦、インパール作戦、レイテ海戦、沖縄戦のケースを分析。自分は沖縄戦以外はどれも名前だけしか知らなかったので、作戦の目的とその結果について多くのことを教えてもらった。
先日たまたまテレビで映画「山本五十六」を放送していてちょっとだけ見たけど、ミッドウェー海戦とガダルカナル戦について触れていた。空母対空母の戦闘がどのようなものか、この本のおかげで理解が進んだ。だが、自分が興味があったのはここまで。帝国陸海軍に栄光なんてなかった……。
これを読むと日本軍にも「勝つ目」はあったかのように思える。が、後半部分では日本軍という組織が抱えていた問題点を細かく一気に突いてくる。大学の教科書のようになってきて一度読んだだけでは理解が及ばない。
が、この本に書いてあることが解決されないと、今後も日本的組織は世界に負け続けるということはわかった。組織論に関する本なので企業経営者とかが読むべき本。あまり自分とは関係ない本かもしれない。
精神論ばっかりで、万が一失敗したときのコンティンジェンシー・プランを用意してないヤツを信用しちゃいけないことも学んだ。作戦の目的ははっきりさせないといけないこと、兵站とロジスティクスの重要性、一点豪華主義はダメ、評価と学習が適切になされることの必要性などなど……まだ他にも多くのことを教えられた。
日本軍のようなブラック組織と関わっちゃだめだ。
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おぉ、随分お堅い本を…!
WWⅡ当時は戦闘の度に大きなイノベーションがあったのでやるほうとしては大変だったでしょうね。今の音楽業界以上に未来が不確かだったわけで。
陸海軍の最大の不幸は参謀本部と現場の意思疎通ができなかったことでしょう。作戦を立てて、それが一見理論的であっても現実的でなければ実行出来ないじゃないですか。
沖縄戦なんかはその最たる例で、この本では上層部の意志に沿って戦え、って書いてますがその通りやったら即全滅だったでしょう(笑)。現場で作戦立てた人が優秀だったんですね。実際米軍は大苦戦しましたし。
組織論で言えば山本七平さんの『日本はなぜ敗れるのか』という本が面白かったですよ。
flower flowerは今年音源出すんですかね?yuiさんもコンポーザーとバンド、アーティストと事務所・レコ社の意思疎通を怠ると大変なことになりますよ、なんてね。ははは。
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そう、参謀本部のエリートたちに現場がなにも見えてなかった。情報通信の不備のせいで相互不信に。現場にいた指揮官は立派。一方アメリカは賢い人がトップにいる。苦戦してもフィードバックして適切に対応してる。日本は日露戦争のまんまだった。
今年中に再デビューってのは信用できそうかも。事務所もレコード会社も辞めてないってことは頭のいい大人が、糸の切れた凧のようにならないように、どこかで手を引いてるなじゃないかなって。
意外に夏フェスあたりでどかーんとメインステージに復帰とかちょっと期待してる。