GREEN GARDEN POP と ORANGE GARDEN POP

そしてとうとうYUIのソニーでの8年間ベスト盤がリリース。10月31日に発表があってから今日の発売日まであっという間だった。最初このベスト盤のウワサを聞いた瞬間、「決算発表のために、YUIちゃんお願いっ」ってザキヤマ口調で手を合わせてるエライ人の姿が思い浮かんだ。だが、最近どしどし出版される雑誌によると、YUIもけっこう乗り気で選曲してたみたい。あらま……。

ベスト盤に難色を示すアーティストも多い。わりと強いこだわりのある「難しい人」と某紙で噂されてしまうYUIにしてはちょっと意外な結果かもしれない。本人がバランスよく「セットリストを考えるように」作った18曲ずつの2つのプレイリスト。YUIの残した楽曲は89曲あるが、36曲もベストに選んでしまった。GREEN GARDEN POP と ORANGE GARDEN POP の2枚同時リリース。通常盤で1枚3,000円もする日本のCD価格で2枚同時に発売することに多少疑問を感じる。2枚組みではなく？

主にiTunesで音楽を聴く自分にとって、このベストアルバムは何もありがたくはない。既に全部のアルバムとシングルを持っているヘビーユーザーは、パソコン上でプレイリストを組みたててアートワークを貼り付ければ出来上がり。6000円出す気になれない。YUIが考えた曲順という情報のみ重要。

「ちょっと買ってみようかな」というYUIビギナーにとっても同じだ。YUIのアルバムはB面集 MY SHORT STORIESを加えても6枚しかない。ちょっと頑張れば全曲そろってしまう。 ベストとは言ってもこのアルバム2枚買うだろうか？自分ならレンタルすらしないだろう。お買い得なことはあんまりない。シングル「fight」が収録されたアルバムはこれだけだが。

そこはソニーさんもよくわかってるらしく、「これでもか！」と未公開写真を盛ったフォトブックを緑と橙の初回盤それぞれに付けた。これで状況は大きく変わってくる。重度のファンは予約してでも買う。指定の店で2枚同時に購入するとさらに「YUI WHITE BOOK」（まだフォトブックがあるのかよ！？）という1冊が特典として付く。（ソニーの通販だとさらにクリアファイルも付く。）　CDがオマケでつく写真集になってしまった……。通常盤と初回盤のジャケットが異なっているように見えるが、通常盤に外箱とフォトブックがついて初回盤になっているので、初回を買う人は通常まで買う必要はない。

問題の付属フォトブック「GREEN BOOK」（デビュー前からハタチまで）と、「ORANGE BOOK」（ハタチから現在まで）の2冊をパラパラとめくってみて……度肝を抜かれた。な、なんだこれ？！初めて見る未公開写真だらけ！

自分は「写真」を日々重要視し注目しているために、それがいつごろ何処で何用に撮られた写真なのか見ればほぼわかる。ロッキングオンの「H」「JAPAN」、シンコーミュージックの「B-PASS」のグラビア用に撮られた別カット（なぜかソニーマガジンズのPATiPATiからのカットはさっと見たところ1枚しか見当たらなかった）、MVとジャケット撮影からのカット、夏フェス、ツアーからのカット、そしてソニーウォークマン用の広告用写真、なぜかファッション誌から、さらにプライベート旅行だったニューヨークの写真まで、ど・ど・ど・ど・どとぶち込まれる。何か理由があって選んだと思えない雑多な感じ。初めて見る衣装の写真もあった。これはやっぱり買わないといけない。

中でも自分にとって一番の衝撃だった写真はGREEN BOOK最後のページの20歳バースデー「赤いキモノテレキャス」だった！あまりのインパクトに「何だコレ！？」って叫んだ。どうして今まで隠してた？どうしてこの期に及んでこれを公開した？これをジャケット写真にしたらよかったのに。世界規模で話題になるに違いないカットだ。

2枚同時購入特典のWHITE BOOK は東京と福岡でのジャケット用撮影の様子が10ページ、2005年のデビュー当時の写真が4ページという薄い小冊子。

この大盤振る舞いには友人も「これじゃ閉店大セールだよ…」と嘆いていた。なんで今まで出し惜しみしてたの？別れるときに写真と手紙を処分するみたいなもんか……。B-PASSのインタビューで山本祥子が曲目リストを見て「このライブ、いつか2DAYSで見たい」と言うとYUIが「私もです」と答えている箇所がある。が、それはほぼ望み薄……。

いちおうTSUTAYAフラゲしたのでCDをかけながら聴いている。どっちから先に聴こうか迷うが、品番が若いGREENから。事前になんら収録曲の情報に触れないでいたのでライブのように新鮮だ。だが、ソニーに初回盤2枚の代金6,600円をカモられた感じがしないでもない。「最初で最後」とか「YUI 完結」とか……なんにも祝祭気分のないベストアルバムだった…。