以前はこの曲のどこがいいのかさっぱりわからなかったのだが、何度も聴いているうちに、ある時点から頭の中でスッキリと響いてくれるようになった。聴くたびごとに新しい発見があってとてもおもしろい。
バルトーク(Bartók Béla 1881-1945)という作曲家は20世紀クラシック音楽の最重要作曲家の1人だが、普通のクラシックリスナーからするとちょっと敬遠したい作曲家かもしれない。だが、根強い、異常に熱心な聴き手がいる。とくにこの6つの弦楽四重奏曲は異常にマニアックな人気があり、弦楽四重奏団にとって重要なレパートリーで録音の数も膨大だ。
で、ケラー・カルテットの演奏だが、この団体はハンガリー人のカルテットだったって今回初めて知ったぐらいで、このCDしか聴いていないのだが、ハンガリー色が濃厚で勢いがあって鋭い。そして録音がとてもいい。今まで聴いてきたどの録音よりもいいと感じた。いい買い物だった。うれしくて何度も何度も聴いている。第6番の第3楽章に、非常に印象的な微分音(四分音)を出す箇所がある。自分は学生の頃から「微分音」にちょっと関心があったのだが、長年「微分音」って「半音のさらに半分」ぐらいの浅~い知識で済ませてしまっていた。それは四分音だ。まあ、「微分音」については音楽教科書を読んでもらうとして、このケラー盤はこの箇所が何も印象に残らないぐらいにあっさりと聴こえた。
この曲をよく聴くようになって気がついたのだが、このアルバン・ベルク盤はどうも「通」からするとぬるいらしいのだ。ケラー盤を聴いてこれを聴くとテンション低く聴こえる。それに録音も冴えないらしい。
だが、このきっちりかっちりとした演奏は重要だ。曲の魅力を伝えてくれている。この曲の魅力に気がついてからまだ間がない。今、猛烈に他の録音も聴きたい。次にジュリアードSQの1963年盤が欲しいのだが、安く売ってないな…。
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