SIBELIUSという名前はクラシックにほんの少しでも関心があれば誰でも名前は知っているかと思うが、ほとんどの人はどんな曲があるのか知らないと思う。実は、昨年もっとも聴いたクラシックはシベリウスのヴァイオリン協奏曲ニ短調 作品47 Violin Concerto D-mol だった。これがシベリウスで一番重要な作品。多くのCDが存在する、演奏者にとっても重要なレパートリー。ただ、人によってはこの曲が嫌いだという人もいる。え?何度聴いても発見がある面白い曲なのに。
で、この1年、何度も聴いているのがフルトヴェングラー指揮ベルリンPOの戦時下1943年のライブ盤 ソリストは当時のコンマスだったクーレンカンプ Georg Kuhlenkampff (vn) Furtwängler (cond.) Berliner Philharmoniker 1943 Live EMI
これをiPodで15回ぐらいは聴いたと思うが、その魅力がわからない1枚だ。この指揮者がシベリウスを振っているのは貴重だ。ナチ政権下のコンマスだったクーレンカンプの録音も貴重だ(自分は他にショルティが伴奏したブラームスのソナタしか聴いたことがない)。人によってはこれを一番に推す人もいるが、‥音が悪い。この時代にしてはいい状態なんだろうけど、ヴァイオリンの音を鑑賞するには不利。音程が安定して聴こえないし、細かい部分がどうやっているのかわからない。オケの音も聴き取りづらい。重たくギクシャクした伴奏に感じるが、むしろそこを面白く思って聴いている。北欧の雰囲気とか、ロマン主義的ポルタメントとか評価されているらしいのだが、う~ん、‥‥この魅力がわかるようになるにはまだまだかかりそうだ。
最近このCDを古本屋で500円で手に入れた。80年代に当時の人気指揮者たちとDGに録音を残したシュロモ・ミンツによる1枚 伴奏はレヴァイン指揮ベルリンPO Shlomo Mintz (Vn) James Levine (cond.) Berliner Philharmoniker 1986 DG
このCDを以前聴いたことがあって強い印象を残していたのだが、店頭でこれを見かけたとき一度スルーしてしまった。もうこれ以上CD増やしてもな‥と。しかし、廃盤だしやっぱり欲しい!と2日後またその店まで出かけた。よかった、まだあって。やはり、ヴァイオリンがすごすぎ。ミンツの技に耳が釘付け。
ミンツというヴァイオリニストの存在が忘れられかけている。80年代にチェリビダッケに「現在最高のヴァイオリニスト」と評されたこともある‥と、どっかで読んだ。音は繊細で美しく、安定した正確無比な技術をもっていたのだが、90年代に入るとほぼ演奏活動からは身を退いたようだ。くわしいことは知らない。たまに見かける80年代のCDを聴くと、どれも自分にはすごくいい演奏に聞こえる。実はこの人の別のCDが自分のクラシック音楽への関心の2段ロケットに火をつけてくれた人だったのだが、それはまた別の機会に。
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