2012年2月1日水曜日

アッシジの聖フランチェスコ Messiaen

Messiaen_ozawa
自分は以前、アッシジに行ったことがある。アメリカ人と中国人だらけのフィレンツェ・ユースホステルから鉄道でアッシジに行って戻るというギリギリの鉄道独り旅。
日本と違って、あちらの観光地では人がどか~んとあふれかえるという事がない。中世以来ほとんど風景が変わっていない。当時と変わらない時間が流れていた。

自分はアッシジの聖フランチェスコがどういう人物かをあまり知らない。唯一この人物に触れた機会が、フランスの現代音楽の作曲家オリヴィエ・メシアン(1908 –1992)の歌劇「アッシジの聖フランチェスコ」によってだ。
これを聴いただけでアッシジに行ったという人は自分以外ほとんどいないと思う。石棺を前に手を合わせてきた。

これは小澤征爾による1983年パリ・オペラ座での世界初演ライブ。だいぶ昔に国内盤で出たらしくて、学生の頃、持っていた人が貸してくれて以来ずっと欲しかったもの。昨年末、ついに海外からこのCDを購入した。
超円高の今、送料合わせて3500円ほどで購入。中古を買ったはずだったのだが、完全な新品だった。この4枚組みCDには対訳が付いていない。自分はむしろ対訳を付いていないこちらをあえて希望していた。

全3幕8場の演奏時間が4時間を超える超大作。大打楽器群に大編成オーケストラと各キャストと合唱で150名必要!よって、あまり演奏される機会がない。高齢で視力の衰えていたメシアンによる巨大な総譜は20キロを超えるという‥。

これを学生時代に貸してくれた人も、この長大で何度も何度も反復する音楽に閉口していた。打楽器がカチャカチャトコトコ、金管がジャーン、弦がギューン、そしてオンド・マルトゥノの不気味な音‥。なんだかよくわかんないけど、スゲェ‥。って思った。
20歳ぐらいのとき。しかも、これって何を言ってるのかさっぱり意味がわからないんだわ‥。フランス語だし。
Messiaen_nagano
実は、だいぶ以前にこちらのケント・ナガノ指揮ハレ管弦楽団のCD(国内盤)を中古で買ってしまった。中古といっても1万円ぐらいした。ありえない‥。

昔はクラシックの現代音楽に多大の出費を裂いていた。中古CD店のオヤジも「すごいの聴くねえ‥」と感心していた。対訳本が欲しかったのだ。そして、こちらはなぜかハレ管による演奏。

この英国最古のオケはバルビローリによって存在は知っていたけど、まだあったんだぁ~って思った。しぶすぎ。ただ、ナガノによる明確な指揮と完全な状態での演奏と録音はとびきりいい!小澤の初演盤では聞こえてこない音がする。しかし、対訳本を読んでみても、ここで登場人物たちが語っていることが、まったく意味がわからなかった(笑)。う~ん、おそらく今日われわれが聖人と辻でばったり会って説法を受けてもよく意味がわからないのと同じじゃないかな。

ナガノ盤のスッキリしたカンペキな演奏を聴いていたら、あの小澤盤の荒々しい熱気のようなものが恋しくなっていた。今回、小澤盤を聴いてみて大満足。ただ、CDケース裏のトラックの情報が間違いだらけで取り込みに大混乱した。聖フランチェスコのように残りの人生を生きたい。

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