2011年10月9日日曜日

ジークムント・フロイト 「モーセと一神教」

おそらく20世紀で一番頭の良かった人のひとりがフロイトだと思う。それまで誰も気がつかなかった方法で人間の心というものにその良すぎる頭脳で立ち向かった人。なぜかこの夏、唯一手に取った本がこれだった。

「モーセと一神教」ちくま学芸文庫 (ブックオフで定価1200円のところを650円でゲット)自分にとって謎だった1冊。

大学に入ったころ自分は教養科目では心理学を取らなかったのだが、そのころ初めてフロイトとかユングとかに関する本などを初めて読んでみたのだが、これがもう何もかもちんぷんかんぷんだった。

高校生までに習ったこととはずいぶんと何もかも考え方が違っているなという印象だった。現代を生きる上で「心的外傷」などの知識は必須だと思うのだが、なぜ中学高校で教えないんだろう?今日、フロイトのいうことすべてをそのまま信じている人はいないが、心というものの理解に一役たつはずなのに。

驚いたことに、大人になって読んでみてもちんぷんかんぷんだ(笑)。太刀打ちできるようなものではない。

で、この本は晩年のフロイトが「ユダヤ民族をつくったのはエジプト人モーゼ」という大胆の度が過ぎる仮説を展開するスケールのでかい1冊。
自分は松本清張の日本古代史ものが好きで以前はよく読んでいて、そういう物なのかな?と読み始めた。

だが、フロイトは歴史学者でも民俗学者でもない。精神分析学の開祖だ。やはりこの本は最初はなんとかついて行けるけど、後半からイッキに難しい。読んでいる自分もダッチロール。5行戻って読み返す、10行戻って読み返す、ページの頭に戻って、前のページに戻って、それでも「なんでそうなるの!」という論が展開されていく。

そして、フロイトの文章もかなり迷いが感じられる。精神分析の研究の成果をどう集団にも適用していくのか?結局フロイトのような人にもどうにもならないわからないことがあるということだ。とにかく、どう読んでいいのかわからない1冊だ。

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