2011年10月17日月曜日

神津島と天上山

P1060351
自分の友人はみんなもれなくどこかへ出かけたがる人たちで、Fが先週の3連休の前日になって突然、「神津島へ行こう」とメールをしてきた。どこだそれ?

多分、東京都の島嶼部という知識しかなかった。友人は八丈島へは以前ダイビングに行っていたという。その先の島々へはまだ行ったことがないという。

夜10時に出向する東海汽船に乗り込み南の島へ。連休とあってさすがに竹芝ふ頭は釣り道具やらダイビング用具やらもった老若男女であふれかえっていた。出向前に定食屋で軽く食事し、1等船室に荷物を置いてからデッキで夜の東京を眺めながらこれから向かう島のことを考えたりする。
P1060357
なかなか寝付けなかったので、8時半ぐらいまで寝てしまった。おかげで途中に立ち寄った島々を見ることができなかった。

9時ごろにようやく目的地の神津島が見えてきた。10時間以上の船旅だ。絶好の行楽日和で海がとても穏やかだった。だがしかし、島にだけ雲がかかっている。今日めざす神津島の天上山の全貌が雲のためによくわからない。どんだけ高いんだ?
P1060363
船を下りるとさっそく今夜泊まる民宿のオヤっさんが待機してくれていた。1泊だけど、お世話になりまーす。民宿まで車で向かう。神津島村の狭い道を器用に通り抜けて一度荷物を部屋に置いてすぐさま登山口まで送ってもらった。夏の海水浴&マリンスポーツシーズンが終わるとこの島も静かになるようだ。

我々のほかにもこの山を目指すグループがあった。1合目で神津島村を振り返る。なんだか鎌倉みたいな風景だ。この写真で見えている範囲と尾根の向こうに同じぐらいの集落がある。自分が思っていたよりもこの村は大きい。
P1060364
我々が乗ってきたフェリーはそのまま島の人を乗せて、島々を回って東京へ戻る。忙しい船だ。

この山の登山道は人がやっと通れるぐらいの表側にシダと低潅木の生えたジグザグの道。太陽を避けられないので暑い日はよしたほうがいい。この日も天気がよくて暑かった。
P1060366
だがしかし、ようやくジグザグの道を登りきると火山の火口に入るのだが、みごとに向こう側が霧でホワイトアウトだ。
そして自分がイメージしていたのと違う木々の多い茂った風景。
P1060367
この人工的に並んだ石は文政年間に外国の侵入を防ぐ目的で作られた石塁。この石と石の間から鉄砲とヤリで応戦するという。江戸時代も太平洋戦争も最終的には同じ方法しかないわけだ。このあたりで標高520メートル。さすがに風が強い。
P1060372
天上界にある千代池(せんだいいけ)だ。池といってもほとんど干上がっていて水溜り程度のもの。それほど風情もないのでスルー。
P1060373
それから先がまるでジャングル。人が一人やっと通れるかどうかの獣道。しかし、道がきちんと石で作られているので迷うことはない。思っていた以上に指導標が整備されていて地図ないとしても迷うことはない。
P1060374
こんなところをさ迷い歩く。ここはかつて火山の火口だった場所。なんだか日本兵の気持ちがわかってきた。こんなブッシュを木々を掻き分けて進む。
P1060376
おそらくあの高い場所が外輪山に相当する場所だろう。霧が出てきた。
P1060377
えぇっ?行く手が霧で真っ白だ。我々は完全に雲中なのか?
P1060378
白く見えるのは火山灰の砂。雪にみえるけど砂。山頂が砂漠って初めてのパターン。
P1060380
あらら~、これはもう完全に他の惑星の風景だ。道に迷わないように岩に黄色い矢印が書いてあるので助かる。霧の中を歩いていると髪の毛が濡れてくる。
P1060381
ひゅう~。風も強いし、大丈夫なのか?我々は。霧で10メートル先も見えないが。
P1060382
表砂漠とよばれる場所で持参したキャプテンスタッグでお湯を沸かしてカップラーメンをいただくことにした。なんとかバッグで囲って風を防いで。自分はカレーヌードルを選んだのだが、食事の最中にでっかい虫が目の前に飛んできた。黄色と黒の縞模様が見えたのでついパニくってカレーをズボンにこぼしてしまう。熱ちぃーーー!下ろしたてのズボンにカレーのしみが…。
P1060383
悪天候だがとにかく山頂をいただかないことには帰れないということで道を行く。風は強いが寒くはない。
P1060384
とにかく標識があってくれて助かった。これがなかったらあきらめて下山していた。
P1060385
まるで雪山に見えるかもしれないが、ここは砂漠だ。安心を。
P1060386
まるで賽の河原のようだ。別の惑星の風景だ。
P1060387
完全に道に迷っているかのように思われるかもしれないが、道しるべがきちんと置いてあるので安心だ。
P1060388
しかし、13時ごろなのにこんな感じってヤバくね。本来なら不動池まで行くのだったが相談の末、山頂をやっつけたら下山しようといういうことになった。
P1060389
裏砂漠とよばれる場所から再び表砂漠へ戻る。天上山の最高地点を目指す。道に迷わないように石で示してくれる。
P1060390
祠があったので祈る。毎日健康で幸せに暮らせますように。
P1060391
山頂までの登りが石と砂って初めてのパターンだ。
P1060392
ここが神津島の最高地点、天上山山頂571.6メートル。本当なら青い海が見えるのだが、・・視界ゼロ(笑)。
それに、おそらく風速10メートル以上の強風。風下の岩陰にくぼみがあったのでそこに身を潜めて再びお湯を沸かしてコーヒー。
P1060395
再び下山道へ戻るとこんな風にまったく晴れている。夏の日差しだったり、ジャングルだったり、薄ら寒い霧の中だったり、強風の中だったり、砂漠だったり、・・・すごい変化を見せてくれたぜ。天上山。
P1060399
16時ごろ旅館に歩いて戻り、そのまま温泉まで歩いていく。おそらく徒歩3km。あの突き出た部分にある三角の屋根の建物がそれだ。首にタオルを下げて歩いてきたけど、限界に遠い!入浴料800円を払って露天風呂へ。ここは水着の着用が必須。男女一緒だし道から見えるから。海に沈む夕日を見ながら温泉につかる。日が沈むと今度は月を見ながら。なんといういい温泉だ。外国人も来ていた。
P1060400
翌日もう帰らないといけない。朝9時ごろ民宿を出て散歩しながら埠頭を目指す。この島は都立高校もあるのでわりと大きな島だ。道は細いが、日本家屋とかなくてどの家もフツーの家。それほど旅情を感じなかった。この島で唯一のベーカリーで買ったパンを朝食にする。

ちなみに、神津島村の車はすべて品川ナンバーだ。
P1060403
ビーチを歩いて船着場を目指す。泳げそうだ。
P1060404
来た時と同じ船だ(笑)。東京へ行って帰ってきたのだ。忙しい船だ。乗り込む人が40人ぐらいはいたかな。
P1060405
港から昨日登った天上山を見上げる。すっかり晴れている。
P1060406
さようなら神津島。頭の中で金田一シリーズの「獄門島」のテーマが流れた。自分がいつかこの島を訪れる日がまた来るのかな。
P1060407
途中、こうやって各島々へ立ち寄っていく。この船は物資の輸送にも重要な手段になっている。この島からも30人ぐらい乗り込んできた。
P1060410
平べったい式根島だ。この後は新島へ
P1060415
利島。この島は入り江がないので海が荒れると立ち寄れない。
P1060417
島で暮らすのっていろいろ制約がある。
もう海を見るのも島を見るのも飽きてきたので昼寝をすることにした。それにしても物理的にも心理的にも東京の島々は遠かった。小笠原なんてとてもじゃないが行けないわ。
P1060418
東京湾で不思議な夕暮れの風景に出会った。おそらく真ん中の黒い影は富士山から伸びる影。
陸地が見えてから竹芝までが恐ろしく遠い。

毎日、帰りが午前になるまで働いている友人が「病気になるかも」「仕事やめたい」と口走っているので、たまにはこういう遠出に付き合ってみた。少しはストレス解消になったみたいだ。

0 件のコメント:

コメントを投稿