集英社新書ヴィジュアル版「フェルメール全点踏破の旅」(朽木ゆり子 2006)という新書を手に入れいた。いつものように古本屋で。なんと55円だったので即購入。
この作者の「盗まれたフェルメール」という本は読んだことある。
男性誌「UOMO」から持ち込まれたフェルメール全点を見に行く企画連載の単行本。
地球上にフェルメールが残した絵画は37点しか存在しない。そのうちの33枚を見に行く。
1990年にボストン・ガードナー美術館から盗まれ行方不明になった「合奏」は当然見ることができない。
あと、ジョンソン・アンド・ジョンソン創設者のひとりの未亡人が個人所有してる「聖女プラクセデス」も一般公開されておらず保管場所すらも不明。
そして「音楽の稽古」は英国王室の所有で宮殿内に飾られている。この連載時にタイミングが合わずこの本では扱わない。そして「盗まれたフェルメール」の取材で二度訪れたばかりのダブリンにある「手紙を書く女と召使」も扱わない。
しかし、それ以外は常設してる美術館と、フェルメール展を開催してるロッテルダム・ボイマンス美術館で3点まとめて見る。フィラデルフィアに貸し出されている個人蔵作品を見る。
ベルリン、ドレスデン、ブラウンシュバイク、ウィーン、デルフト、アムステルダム、ハーグ、ロッテルダム、ロンドン、パリ、エディンバラ、ワシントン、フィラデルフィア、ニューヨークをめぐる旅。
わりとハッキリ物を言う。フェルメールが好きで見て回ってるのに「あまり好きじゃない」「32億の価値はない」「生気がない」「腕と指の描き方がヘン」という絵画もある。
日本人のフェルメール好きの理由は、宗教色が少ないから?!
「赤い帽子の女」「フルートを持つ女」は同じ人物を描いたように見える。しかしこの2点の絵画はフェルメールらしくない。フェルメールの真作か疑わしい。由来を辿れない。
デンハーグ・マウリッツハイス美術館にある「デルフトの眺望」はフェルメールの代表作という扱いだが、この絵をマルセル・プルーストは「世界で最も美しい絵画」と絶賛。それ知らなかった。
自分はこの作者からほぼフェルメールを学んだ。フェルメールには特定の人物を描いた肖像画ではなく不特定のモデルを描いた「トローニー」というジャンルの絵が多い。そんなことも初めて知った。17世紀に商人で栄てたちまち没落したオランダの歴史も学ぶ。

0 件のコメント:
コメントを投稿