北林一光「ファントム・ピークス」(2007 角川文庫)をいただいて来たので読む。自分のまったく知らない作家。
北林一光(1961-2006)は長野出身で映画会社宣伝部で働いた後に作家活動に入った人らしい。今作は癌による死後の単行本化だったらしい。
東京から長野県安曇野へ妻と移住した三井は妻が山で行方不明となり半年後に白骨化した頭蓋骨が発見された。遭難事故なのか事件なのか不明。
しかし、グループで沢に来ていた女子大生が失踪したり、少女と一緒だった母親が山中で突然姿を消すなどの神隠し事件が頻発。
これはもしかするとクマ被害なのでは?だが、長野に人を襲うクマなんていないはず。
しかし、目撃談からどうやらツキノワグマなどではなくヒグマかもしれない…。
この本、序盤こそリアリティ路線だったのだが、だんだんと人食いヒグマモンスターパニックホラー娯楽作へと変貌。作者が映画業界にいたからなのか、まるで怪獣映画の雰囲気。獣害被害として未曽有の大惨事。
およそ考えられる最悪ケースの獣害事件。その真相はちょいミステリー。こんなことが起こったら大変だ。
ヒグマと人間の共存は人命軽視の絵空事。全頭駆除するしかない。20年前から今日のヒグマ駆除論争をめぐる地元民と安全な場所から意見するクレーマーって図式はあったのか。警察の許可のない猟銃発砲をめぐってのケンカと言い争いもあったのか。
巻末解説は黒沢清氏。
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