2025年8月29日金曜日

ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア「たったひとつの冴えたやりかた」(1986)

ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア「たったひとつの冴えたやりかた」(1986)を読む。朝倉久志訳の1987年ハヤカワSF文庫(2008年19刷)で読む。表紙カバーと挿絵イラストは川原由美子
THE STARRY RIFT by James Tiptree, Jr. 1986
このSF作家の名前は子どものころからハヤカワSF文庫の棚や目録を眺めてる自分のような人ならみんな目にしたことはあるに違いない。だが、自分は今回が初読。こいつもコロナ期間中にBOで購入。なんと55円。3年積読本。

ページを開くまで、表題作と「グッドナイト、スイートハーツ」「衝突」の3本の中編から構成された一冊だとは知らなかった。表題作以外の2作は同じ世界観の連作だが、正直、読み終わた後に何の感想もないw すまん。

表題作は15歳少女がマイ宇宙船で宇宙の果てへ冒険に出る話。遠い未来は15歳が親から宇宙船を買ってもらえるようになるのか。
(アメリカは1950年代から子どもが親から個人使用の車を買ってもらえる社会だったかもしれない。だとするとそんな未来を思い描くのも当然かもしれない。日本も上位数%は親から車を買い与えられてるかもしれないが。)

冷凍睡眠から目覚めると、脳内にエイリアンが寄生していて…という設定は新鮮。ほんのわずかしか栄養分を必要とせず、幸福感を得られる物質を出して、血管内を移動してくれて悪い所を直してくれて、高い倫理観を持っているのなら、それはもはや腸内で活動する乳酸菌のようなもの。しかもAIバディのようなものなら歓迎すべきエイリアンかもしれない。
この作品はわりと読み終わった後に余韻のようなものがある。

翻訳者による巻末解説を読んで、ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア(1915-1987)が女性で、本名をアリス・シェルドン夫人ということを初めて知った。それはアメリカ人読者も同じ。1977年まで女性だということは伏せられていたらしい。
しかも、この作品の翻訳をすすめていた最中に、認知症の寝たきり夫(87)を射殺した後に同じベッドで自身の頭を撃ち抜いて死亡してるのを発見されるという悲劇的最期。

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