2025年6月9日月曜日

安部公房「砂の女」(昭和37年)

安部公房「砂の女」(昭和37年)がこの作家でいちばん有名作なはず。だがまだ読んでなかったので今回読む。新潮文庫で読む。

砂丘のある集落へ昆虫採集に出かけた男。一晩の宿を地元老人に求めたところ、なぜか砂に埋もれていく一軒家に閉じ込められる。30代ぐらいの女と一緒に。

え、なんで?帰りたいんですけど。家がアリジゴクの底のような場所。砂丘を登れないし脱出できない。
要求しても色々質問しても暖簾に腕押しな受け答え。期待するような対応をしてくれない。常識が通用しない。村人たちから火の見櫓から監視されている?

どうやら、砂の崖からどんどん崩れてくる砂を掻き出す労働をしないと食料も水も与えてくれない生活?
皮膚にまとわりつく湿気と砂が不快だが風呂もないし水浴びもできない。
労働力としてこの村に監禁されてる?過去に同じように若い男たちが罠にハマってる?

というような理不尽なサスペンスホラー。純文学を予想していたのだがちょっと違った。ずうずうしい村人にイラつくしムカつく。ほぼ自民党・財務省・経団連からこき使われる日本の下層民みたいな構図。
しかし有名作なだけあって、今まで読んだ安部公房でこれがいちばん面白い。

男が部落からの逃走を試みるパートは、華麗に爽快に成功するラストも読みたい。そして復讐の修羅となって紅蓮の炎で部落を焼いてほしい。

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