2025年2月12日水曜日

ジョン・ダニング「深夜特別放送」(2001)

ジョン・ダニング「深夜特別放送」(2001)を三川基好訳ハヤカワ文庫上下巻で読む。
これ、別に読みたい本でなかったのだが、処分するというので数年前に無償でもらってきた積読本。
Two O'clock Eastern Wartime by John Dunning 2001
「死の蔵書」で日本でも人気になった作家が6年かけて完成させた大作。2001年に発表され2001年に邦訳が出るとか、相当な人気作家。だが、今日ではもうジョン・ダニングを読んでる人をあまり見かけない。

戦時下のアメリカ、ラジオ放送黄金時代の1942年ば舞台。飲み屋で警官の指示に従わず抵抗し暴力を振るったとしてカリフォルニアの労働キャンプへ送られた青年ジャック・デュラニー。友人の逃走援助もあって作業に向かうトラックから脱獄。かつての恋人ホリーの元へ向かうのだが、すでにホリーはそこにいない。そして友人の遺体発見。
わずかな手がかりからニュージャージーのラジオ放送局へ。そこでホリーと再会するのだが、え?!知らんぷりされてる…。

なぜかラジオ局でドラマ台本作家として働き始める。この時代、警察から逃れて来た流れ者なのに偽名で就職?そんなことできんの?
なぜ徴兵されてない?という質問もされるのだが、片耳が難聴で今はまだ招集かかってないだけ。

デュラニーはジョーダン・テン・エイクとうオランダ系アメリカ人を名乗って放送作家。アイデアと才能で話題作ドラマを手掛ける。

この本、失踪した女性を探してさらに失踪者が存在して…というサスペンス・ミステリーを読んでるつもりだったのだが、ラジオ時代を懐かしむアメリカ人のためのノスタルジー人間ドラマ。日本人読者には読んでいて冗長。読んでも読んでも面白くもないし、緊張感もスリルもそれほどでない。

東海岸はドイツUボートから送り込まれたドイツスパイと工作員が?この時代のアメリカ人たちがどんなだったのかを知るうえでは興味深い読み物かもしれない。
ジョーダンはホリーの父親の失踪や、それ以前にラジオ俳優の失踪にも行き着く。脅迫もされる。
そしてラジオ局では収容所をテーマにした作品を書く。日系人収容所の話題は日本人にはわりと馴染みがあるが、ボーア戦争に関してはあまり関係なくて知ってる人すらまれ。

うーん、これは20話ぐらいのドラマ原作を読んでるような感覚。とにかく長い。途中で人物関係を忘れてしまい置いていかれる…。
正直、この本を読んでよかったという感じはないし、これはミステリーではなかったロマンス巨編。タイトルもふさわしいと思えない。

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