歌田年「紙鑑定士の事件ファイル 模型の家の殺人」(2020)を宝島社文庫版(2021)で読む。
これ、友人と出かけた先にBOがあったので立ち寄ったさいに、友人が選書し購入。110円。
自分はまったく聞いたこともない本だった。
主人公・渡辺は印刷出版で使用される「紙」の仲介個人商社を西新宿に事務所を構えている紙のプロで「紙鑑定士」。え、事務員とかすらいない?事務所家賃を心配し、観葉植物リース、コーヒーサーバーリースの契約も止めようか…というほど本業が上手く行ってない。
そこに「神探偵」だと誤解した女の子が彼氏の浮気調査依頼にやってくる。手がかりは写りの悪い戦車のジオラマ模型の写真。専門と違うけど、お金のために引き受ける。
前の仕事の伝手で伝説のプロモデラー土生井。以前に大企業を怒らせて干された?ゴミ屋敷?アル中?わりとだらしなさそう。
だが、この土生井がSNSの存在すら知らなかったのに、主人公がLINEアプリを仕込んで使い方をアドバイスすると、たちまち使いこなす。渡辺が紙知識で行動する探偵。土生井がプロモデラ―知識で渡辺を後方支援アドバイスをするブレーン。
そして、妹が行方不明になっている姉からの捜索以来。手がかりは残された家のジオラマ模型。
そして恐るべき大量殺戮計画が浮かび上がってくる。どちらかというと、サイコな犯人と追いかけるハードボイルド探偵による社会派サスペンス娯楽作。ちょっと思ってたのと違った。もっと本格なものを期待してたのだが。
主人公2人のカンの良さとひらめきが事件の真相へのブレイクスルー。そこは読んでいて気持ちがよい。
警察は無能なだけでなく、凶悪犯罪を未然に防ごうと焦りながらもがきながら行動する主人公たちを妨害しかしない害悪。読んでいてイライラする。
犯人の犯行目的と動機は新しい発明かもしれないが、映画やドラマでよく見る思い込みの強い異常者。映画「見えない目撃者」(2019)を連想。
ふたりが出会う最初のエピソードの謎がレベルとして適切。
紙鑑定士のほうが活躍するんじゃないのかよ…って思った。プラモデル知識の土生井のほうが知識のある名探偵。紙鑑定士のほうが活動する探偵。
てっきり、万能鑑定士Qみたいな無双知識量で活躍するのかと思ってた。主人公の紙知識が事件の解明にそれほど活かされていたように思えない。
0 件のコメント:
コメントを投稿